ドライバーがアクシデントに遭った際の対応などに役立つ新たなバイオメトリックグローブが、2018年シーズン中にF1に初めて導入されるかもしれない。
バイオメトリックグローブは昨年に初めて提案され、メルセデス、フェラーリ、レッドブルのドライバーたちが8月にハンガロリンクでプロトタイプをテストした。
グローブの内側に縫いこまれた厚さ3mmのバイオメトリックセンサーが、ドライバーの心拍数と血中酸素濃度を監視する。FIAは体温と呼吸数をモニタリングする機能も加えたい考えだ。
こういったデータは、事故が起きた際にドライバーの身体状況を把握するのに役立つことが期待されている。
ドイツのスポーツ紙Sport Bildは、こういったハイテクグローブは今シーズンから導入することが可能であると伝えている。しかしながら着用の義務化は2019年以降になるものとみられる。
「どのように最先端テクノロジーを使用して我々医療チームに役立てるか、またドライバーを助けられるかということを自問した」とFIA副レースディレクターのローレン・メキースは説明した。
「もしドライバーが動き、息をしているかどうかが分かれば、それに従って判断を下すことができる」。
「たとえば、ドライバーを脱出させるためにマシンを迅速に取り除くべきか、より慎重にマシンを撤去すべきか、といったことだ」
「ドライバーたちは、この安全基準向上のための動きを強く支持してくれている」と彼は付け加えた。
現在ドライバーのバイタルサインをモニターするために使われている機器は比較的かさばるものであり、事故が起きた直後から使用することはできない。
「ドライバーにすぐに近づけないようなケースもある」とFIA医療部門の副責任者であるイアン・ロバーツ博士は言った。
「ドライバーの姿が見えない場合や彼のすぐ側に近寄れない場合には、限られた情報しか得ることができない」
「この新しいテクノロジーがあれば、ドライバーが事故に遭った瞬間から生理学的測定値とバイオメトリックデータを得ることができる」
「ドライバーは事故に遭った直後から、初期対応からメディカルセンター搬送に至るまで、継続的にモニターされることになる」
ロバーツは、このテクノロジーが役立つ例として、2015年ロシアGPでのカルロス・サインツJr.のアクシデントを挙げている。サインツはFP3でウォールにクラッシュした後、バリアに突っ込み、マシンがバリアにめり込んだ状態になったため、ドライバーの状態を外から見ることができなかった。