フォーミュラEを統括するアレハンドロ・アガグは「今やこの選手権こそが、世界のモータースポーツの基準となっている」と語る。
アガグによればF1ですら、デジタル分野やソーシャルメディアでの露出の仕方において、フォーミュラEのやり方を学んでいるという。大都市のど真ん中で開催する市街地レースにこだわるところも、F1にはかなわない点だ。
「彼らは多くの部分で、われわれをコピーしている。もちろん、単なる偶然かもしれないがね」
たとえばF1が最近発表して話題になったグリッドガール廃止の方針も、すでにフォーミュラEが先行している。
「F1もようやく21世紀の世界にやって来たことを、うれしく思います」と、フォーミュラEのスポークスマンは皮肉交じりの声明を発表した。
「フォーミュラEではすでに去年から、グリッドガールは止めています。ひっそりとね。特に声高に発表する必要はないと、思ったからです」
アガグはフォーミュラEがモータースポーツ界をリードする今の状況は、当然だと感じている。自動車産業自体が、電気エネルギーへと方向転換しつつあるからである。
「あと20年もすれば、モータースポーツ最大のイベントはフォーミュラEになっている」と、アガグはロンドンの経済紙『シティAM』のインタビューに答えている。
「なぜならフォーミュラEこそが、自動車産業に最も直結したカテゴリーだからだ。F1も消滅はしないだろうが、すっかり影は薄くなっているだろうね。フォーミュラEこそが唯一最大の存在となることは間違いない」
アガグはモータースポーツの世界で最も影響を受けた人物として、バーニー・エクレストンの名前を挙げた。
「私にとってバーニーは、いつでも偉大な先例だった。最高の賞賛の念を持ち続けてきたし、彼が何をしているか常に注視してきた」
とはいえアガグは、バーニーに代わる新たなF1オーナーであるチェイス・キャリーといっしょにやって行くことにも、「まったく問題はない」と言う。
「ビジネスにおいては、オーナーこそがすべてを実行する権利を持つ。そして今、バーニーはこのビジネスのオーナーではない。となれば私がバーニーではなく、チェイスとやって行くのは至極当然のことだからね」