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石浦宏明がこだわるエアコンのオン/オフ、細かすぎるスーパーGTドライビング事情

2018年02月02日 10:42  AUTOSPORT web

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首元にきているダクトからエアコンの冷気が出ます
2017年、スーパーGT500クラスでZENT CERUMO LC500をドライブした石浦宏明が明かす、スーパーGTの超マニアックな裏話をご紹介。

●エアコン・スイッチに見るドライバーの意地
 以前はエアコンの装着は任意で、積まなくてもいいルールでした。コンプレッサーやコンデンサーなどエアコン部品のウエイトが7~8kgあってクルマの後ろに積むから、それを積むか、積まないかでウエイトバランスがすごい変わってしまうんです。全然クルマの動きも違うんで、開幕戦の後に、急にみんなセッティングをどうするんだとドタバタしてました。

 今は規則が変わって、年間を通してエアコン装着が義務付けになったからこの問題はなくなりました。エアコンのスイッチのオンオフは自分たちで決めていいルールです。レクサスはエアコンのスイッチをエアコン(コンプレッサー)とファンの2系統に分けてもらっています。だから予選ではファンだけオンして、エアコンはオフにしています。ファンだけ回せば涼しい風が出るので。

----でも、コンプレッサーは全開時に自動でオフになるから影響ないですよね?
 ちょっとでもストレートで影響があったらイヤじゃないですか? コンプレッサーも小さいし、ストレートスピードに影響が出るか出ないか微妙らしいんですけど、タイヤを温めている時はエアコンオンで、アタックの前に切っています。

●予測が難しいタイヤ選び
-----スーパーフォーミュラのヨコハマタイヤはおいしいスリップアングルが狭いのですか?
 そうですね。ちょっと小さいですね。それにプラスして荷重の依存度が高かったりするんで、高速と低速のグリップ感が違う。ブリヂストンの時は低速も高速も違いがなかったです。今のヨコハマタイヤだと、低速サーキットと高速サーキットでがらっと勢力図が変わるじゃないですか? タイヤひとつが変わるだけで、ああいうことが起きるんだなと思いました。

-----チャンピオンと言えどもオールマイティなクルマづくりはできないですか?
 無理とわかりましたね。いかに合わせ込むかですよね。かといって2時間しか走れないですけど。

----2つ3つベースセット持ってというわけにはいかないものですか?
 ならないですね。逆にGTなんて、毎レース、全戦違うタイヤを持ち込みます。なおかつ開催サーキットでテストできるのはレースのはるか前。(路面温度も違うし)レースで、初めてそのタイヤを履くのに近いようなことがけっこうあるので、予測がつかなかったりしますよね。

●カートもSFもGTもいっしょ
 この間、久しぶりにカート時代の人たちと忘年会をしたんですけど、カートってフレームを入れ替えて速くなったとか、遅くなったとかよくありますよね。(話をしていて)改めて、カートでもフォーミュラでGTでも同じことをやっているんだなと思いました。

 乗り物だから、剛性だったり、ちょっとしたことで決勝セットが良くなった、悪くなったということがあって。フォーミュラでもだれそれがニューモノコックに換えてポール獲ったとかありますよね。GTも09規定の時代にもありましたよ。あるところを緩めたら急にバーンと走ったということが。そういうのって勘なんですよね。データだけでやっているエンジニアだと、剛性があったらあっただけいいと思っているから、それを邪道だと言う人もいます。

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 マニアックな裏話を明かした石浦宏明がレクサスLC500操縦法を解説している『スーパーGTファイル2018 DVDスペシャル』は2月2日発売。

■スーパーGTファイル2018 DVDスペシャル
価格:1200円+税

DVD特別付録内容
QF & RACE On Board×3 収録時間200分以上
●チャプター1 石浦宏明×#38 ZENT CERUMO LC500
第3戦オートポリス/“燃リス”ハンディで直線が遅く苦しいレース展開
●チャプター2 松田次生×#23 MOTUL AUTECH GT-R
第5戦富士/コンパウンドが合わず決勝では大オーバーステアと格闘
●チャプター3 野尻智紀×#8 ARTA NSX-GT
第4戦SUGO/ウォームアップに悩んだ後、遭遇した“トラップ”

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