世界的に急拡大を続ける新興ツーリングカー・シリーズのTCRが、新たに“ダウン・アンダー”へ上陸を果たすこととなった。TCR運営組織のWSC Ltd,とオーストラリア・モータースポーツ連盟(CAMS)は、2019年からTCRオーストラリア・シリーズを発足する5年契約を結んだと発表したのだ。
CAMSにとって今回の契約は1990年代のスーパーツーリング以来の、国際格式運用のテクニカル・レギュレーションを採用したツーリングカー・シリーズの招致開催となる。
これでCAMSはTCRシリーズの正式なプロモーターとしての承認を受け、オーストラリア国内でも機運の高まりを見せるTCR規定カテゴリーのシリーズ発足に向け動き出した形だ。
WSCの最高経営責任者(CEO)を務めるマルチェロ・ロッティは、今回の契約に際して「我々はオーストラリアの積極的関与を心から喜んでいる」と語った。
「長年の歴史を誇り、オーストラリアのモータースポーツ発展の牽引役を務めてきたCAMSとのシリーズ開催契約の締結は、TCRシリーズがすでに成功を収めているヨーロッパ、アジア、アメリカに続く4つ目の大陸が加わったことを意味するのだからね」
また同時にCEOのロッティは、オーストラリア大陸ではすでに熱狂的な人気と実力を兼ね備えたツーリングカー選手権(VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー)が存在することを受け、このオーストラリアでTCRシリーズが受け入れられるかどうかは、大いなる挑戦になるだろう、とも語っている。
「そう、この地のモータースポーツ・ファンは素晴らしいハコ車のカテゴリーを愛しており、それゆえに見る目が肥えている。しかし、世界中のあらゆる地域でそうなったように、このオーストラリアでもファンがすぐにTCRの美点を発見し、熱狂してくれると自信を持っているよ」
一方、CAMSのCEOであるユージーン・アロッカも、「この決断がオーストラリアのモータースポーツ界の発展に貢献し、さらなる進化をもたらすだろう」と、喜びを語った。
「このTCRシリーズの最大の特徴は、一般的なロードカーから派生し発展した、安価で良質なパフォーマンスを有するマシンが多数揃っているという点だ。競争力もうまく調整され、それゆえコンペティティブで、モータースポーツに興味のあるドライバーに直接的な参加行動を促す機会にもなるだろう」とアロッカ。
「我々はオーストラリアでのこのカテゴリーの成功を確実にするため、今後もマニュファクチャラーとコンペティターと力強い協力関係を築くことを楽しみにしている。ワールドワイドなTCRへの興味関心には勇気付けられるし、競争の激しいオーストラリアの自動車販売市場を背景に、複数のマニュファクチャラーがこのカテゴリーへのサポートをしてくれると思っている」
前述のようにオーストラリアには、DJRチーム・ペンスキーやティックフォード・レーシング(旧称:プロドライブ・レーシング・オーストラリア)、トリプルエイト・レースエンジニアリングやウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドなど国際的な知見を持つビッグチームのほか、テクノ・オートスポーツやエレバス・モータースポーツ、ケリー・レーシングなどVASCに参戦するモータースポーツ経験豊富な有力チームが数多く存在しており、彼らがスーパーカーとその下部シリーズであるスーパー2、そしてピックアップトラック選手権のスーパー・ユート以外の選択肢として、このTCRオーストラリア・シリーズに関与する可能性は高いとみられている。