2017年10月、フォルクスワーゲンは6月24日にアメリカ・コロラド州で開催されるPPIHCパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに同社製のフルEVマシンを投入すると発表していたが、最初のアナウンスから約3カ月が経過した1月31日、このマシンのドライバーに2016年のル・マンウイナーであるロマン・デュマを起用することを明らかにした。
パイクスピークは標高約2800mのスタート地点から標高4301mのフィニッシュ地点へ続く19.9kmのワインディングロードを一気に駆け上がっていくことから“雲へ向かうレース”とも呼ばれるアメリカ伝統のヒルクライムレース。
2018年で96回目の開催となるこのイベントに、2025年までに20車種以上の電気自動車を市場に送り込むとしているフォルクスワーゲンは、新時代のパワートレイン、バッテリー開発・研究の一環として内燃機関を搭載しないフル電動プロトタイプマシンを投入するとしている。
そんなフォルクスワーゲンは現在まで最新EVマシンの詳細およびシルエット以外の外観を公開していないが、パイクスにおける電動レーシングカーのニューレコード樹立を目指す今回、グループ内のポルシェ・ワークスドライバーとして活躍するロマン・デュマをプロジェクトのドライバーに指名した。
2016年のル・マン総合優勝ドライバー、WEC世界耐久選手権シリーズチャンピオンであると同時にパイクス・ディフェンディングチャンピオンでもあるデュマは、2014年にPPIHC初優勝を飾ると2016、2017年は2連覇を達成。今もっともパイクスを知るドライバーのひとりだ。
「パイクスピークは誰にとっても大きな挑戦になる。なぜなら、すべてのドライバーはアタックの権利を1度しか持たないからだ」とデュマ。
「しかし、僕はフォルクスワーゲン・モータースポーツを信じているよ。チームの姿勢はとても意欲的であり、チームにとって未知の領域でもすぐに成功を収めることができることを、多くの場面ですでに示してくれているんだ」と新チームを評している。
一方、フォルクスワーゲン・モータースポーツのスベン・スミーツもまた「ロマン(・デュマ)はパイクスピークにおける最速ドライバーのひとりだ」とデュマの走りに期待を寄せる。
「また、彼はル・マン24時間などのプロトタイプレースにおいても数千キロに及ぶ経験を重ねている。フォルクスワーゲンにとって彼は“完璧”なドライバーであり、我々はフルEVレーシングカーのデビューに最適な人選をした」とその選考理由がパイクスでの実績だけでなく、LMP1ハイブリッドマシンの経験も含まれていることを明かした。
今年も暫定ながら90台近いエントリーが集まっているパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム。デュマの3連覇、フォルクスワーゲンの復帰初年度の成績に注目が集まる今季も例年同様、アメリカ独立記念日間近の週末となる6月24日(日)に開催される。