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卒業発表の乃木坂46 生駒里奈が“グループの顔”であり続けた理由 香月孝史が功績から考察

2018年02月01日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 乃木坂46の生駒里奈が、グループからの卒業を発表した。


 生駒は発表と同時に自身のブログを更新。卒業の理由について、「同学年の方は新社会人として新たな挑戦をする年」である22歳の自分に対し「大人として一人で生きていくためにはどうしたらいいのか、具体的に自分のこれからを考えた時に私はこのままでは足りない」と思うようになり、「どこかまたチャレンジ出来るタイミングはと考えた時、ここだと自然と考える様に」なった結果、今回のタイミングでの発表となったことを綴っている。


 卒業のタイミングについては、次回シングル(リリース時期未定)としているが、詳細は未定だ。1期生メンバーの中心人物として、デビュー作『ぐるぐるカーテン』から5thシングル『君の名は希望』まで連続で表題曲のセンターに立ち、メディアでも積極的に“乃木坂46の顔”として活動してきた生駒は、グループにとってどんな存在だったか。『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であり、乃木坂46に詳しいライターの香月孝史氏は、彼女の功績について下記のように語る。


「生駒さんは、乃木坂46が今のようなブランドを築く以前、方向性を模索している時期から乃木坂46の象徴を背負い、現在のグループに通ずる基調を作ったメンバーです。そのグループのカラーが結実したのが5thシングル表題曲『君の名は希望』でした。それ以降、選抜メンバーの中ではセンター以外のポジションに立つことが多かったですが、常にグループのシンボル的な存在感を帯びていました。ポジションが流動的になったことでかえって、彼女はどの立ち位置にいても乃木坂46の象徴なのだということが強調されているようでさえありました」


 また、生駒が乃木坂46のシンボルとして活躍する要因について、同氏は「グループを俯瞰する力」の高さを挙げる。


「生駒さんが乃木坂46の顔として機能している要因のひとつは、“グループを俯瞰して言語化できる”能力の高さにあると思います。2015年にAKB48との兼任を経験したことでさらにその視野は広がったのかもしれませんが、アイドルというジャンルが社会の中でポジティブとネガティブ双方の反応を引き起こす、両義的な存在であることにも自覚的な方であるようにみえます。メディアのスターあるいはタレントとしての価値は高まっていても、一部の人からは軽んじられるジャンルでもあるということを踏まえながら、冷静に慎重に発信する方という印象です」


 パフォーマンス面については、舞台や楽曲における動きにフォーカスを当てて語ってくれた。


「非常に身体の動きが映えるイメージの強いメンバーです。昨年『第59回 輝く!日本レコード大賞』を受賞した『インフルエンサー』も、生駒さんが後ろにいたことで、さらに躍動感のある動きになっていたようにみえます。昨年の舞台『あさひなぐ』でも、自身の身体を活かしてポテンシャルを発揮していたと思います」


 続けて、その表現の最たる例が2016年の『FNS うたの夏まつり』(フジテレビ系)であったと語る。


「以前、乃木坂46運営の今野義雄氏にインタビューをした際、生駒さんの表現について『少年っぽさと少女っぽさをハイブリッドするというのは生駒にしかできない』(参考:乃木坂46運営・今野義雄氏が語る、グループの“安定”と“課題” 「2016年は激動の年になる」 http://realsound.jp/2016/01/post-5866.html )と話していました。その表現は彼女オリジナルなものでありつつ、年を追って成長とともに進化を遂げながら、少しずつ違う顔を見せてきたと思います。近年、印象的だったのが2016年の『FNS うたの夏まつり』でみせたパフォーマンスです。48グループ・坂道シリーズのエース級メンバーを集めた番組内の選抜ユニットで欅坂46の『サイレントマジョリティー』が披露されましたが、そのセンターとして選ばれた生駒さんのパフォーマンスには強い説得力がありました。乃木坂46に端を発して欅坂46へと繋がっていく、坂道シリーズ独特のクリエイティブの系譜を集約するような存在として彼女がいたのだなと改めて感じました」


 最後に、今後の生駒とグループについて、香月氏はこのように述べた。


「発表時のコメントなどを見ると、長時間かけてここまで話をしてきたのかなと感じました。グループにとってはインパクトの大きい出来事だと思いますが、現在の乃木坂46は“顔”になりうるメンバーが何人も存在する、盤石なグループになっています。今回の卒業も、きっと前向きな力に変えていくことができると思うので、限られた期間での生駒さんの活躍も見届けつつ、彼女がグループのこれからに向けて何を残していくのかという点にも注目したいですね」


 活動に取り組む姿勢や言動、パフォーマンスの全てにおいてグループを牽引し、乃木坂46を文字通り世に知らしめた存在である生駒里奈。彼女の今後にも引き続き注視しながら、共に過ごしてきたメンバー・グループが、波乱の2018年を機にどう変化するのかも見逃せない。