ウインターリーグ制を採用し、全3戦で争われるTCRミドルイースト・シリーズの第2戦が、1月26~27日にドバイ・アウトドローモで開催され、リキモリ・チーム・エングストラーのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブするティーンエイジャー、ルカ・エングストラーとフローリアン・ソーマがそれぞれ勝利を飾った。
開幕戦のアブダビでも優勝を果たし、このドバイにも好調をキープして乗り込んできたエングストラーは、土曜の予選でレース1ポールポジションを獲得すると、スタートからそのまま順調に首位をキープ。
チーム・エングストラーはこのドバイをめっぽう得意としており、昨季シリーズ初年度のドバイも連勝で制圧。そして2週間前に開催されたドバイ24時間も、ルカ・エングストラー、フローリアン・ソーマ、そしてTCRインター王者のジャン-カール・ベルネイらのドライブで制するなど、ここまで同サーキット3連勝を果たしている。
そんな輝かしい戦績を証明するかのように、チーム・エングストラーのゴルフGTI TCRは、サクセスバラストの存在を感じさせない好走を披露。決勝ではフロントに温存しておいたニュータイヤを履いたエングストラーが、開幕戦勝者で同じく30kgのバラストを搭載するジャコモ・アルト(アウディRS3 LMS)をみるみる引き離し、6秒のリードを築いてトップチェッカー。
ピットレーン・コンペティションのアウディに対し、チーム・エングストラーのVWゴルフが、優れたセットアップを見つけていることを示すリザルトとなった。
最後の表彰台となる3位には、11番グリッドからのスタートながらオープニングラップで6番手にまでジャンプアップし、その後もカイ・ジョーダン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)、マット・オモラ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR DSG)らを仕留めてきたロレンツォ・ベリア(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR DSG)が入り、オモラ、ソーマが4位、5位に続いた。
続くリバースグリッドのレース2は、開幕戦アブダビと同様にセアト・レオンTCR SEQのコスタ・パパントニスがポールからのスタート。
しかし、オープニングラップではジャコモの兄であるジョバンニ・アルト(アウディRS3 LMS)と、中段3列目からスタートしたソーマのVWゴルフに立て続けにオーバーテイクされ、パパントニスは3番手にドロップ。
その同じ周に前を行くジョバンニに仕掛けたソーマは、レース1のフォルクスワーゲンとアウディの展開を思わせるスピードですぐに首位浮上に成功すると、そのままアドバンテージを拡大する好走を披露。
ソーマにとっては、昨年のTCRドイツ開幕戦のオッシャースレーベン戦以来となる、TCRミドルイースト初勝利を飾った。
その後方では2番手争いが白熱し、レース1でも激走を見せたベリアがラップごとにポジションを上げ上位に進出。
途中6周目には先方からドロップしてきたパパントニスとターン11で接触し、このジェントルマン・ドライバーをリタイアに追い込むアクシデントもありつつ、終盤にはオモラ、ジョバンニ・アルト、エングストラーとの壮絶な2位争いに参戦。
そして迎えたファイナルラップ。ベリアはこのうちのオモラ、ジョバンニ・アルトとのバトルで接触しながらも、その死闘をかいくぐり2位でチェッカー。続いてオモラ、エングストラー、アルトの順でフィニッシュラインを通過することとなった。
しかし、開幕戦でも他者との接触でペナルティの裁定を受けていたベリアは、ここでも6周目のパパントニスとのアクシデントに対し、レース後30秒加算のタイムペナルティを受け降格処分に。
これでチャンピオンシップは、レース2の繰り上げで3位表彰台を獲得し89ポイントとなったエングストラーと、75ポイントで追うジャコモ・アルトの一騎打ちの展開となり、2月23~24日開催の最終戦バーレーンを迎えることとなる。