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俳優・山田涼介、リミッターを外し新境地へ 『もみ消して冬』で見せた“アイドル姿”とのギャップ

2018年01月31日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 Hey! Say! JUMP・ 山田涼介主演のドラマ『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)が面白い。視聴率も好調で、第1話13.3%、第2話11.1%、第3話11.1%と1月期ドラマの中でも高い順位をキープしている。(数字はビデオリサーチ調べ、関東地区)


 『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』は、エリート一家・北沢家を巡る物語である。母親が亡くなっている北沢家は、私立中学校「北沢学園」の学園長である父・泰蔵(中村梅雀)と、天才心臓外科医の長男・博文(小澤征悦)、敏腕弁護士の長女・知晶(波瑠)、エリート警察官の次男・秀作(山田)の4人家族。しかし、そんなエリート一家にも様々なトラブルが降りかかる。家族の幸せを守るために自分たちでトラブルを解決していくのだが、汚れ役を任されるのはいつも末っ子の秀作。真面目で優しい性格の秀作だが、兄・姉と比べるとどこかエリート感が足りず、家族に認められたい一心で彼らには逆らわず、言われるがまま……という少し残念なキャラクターだ。


 このドラマ、とにかくコミカルでテンポが良い。公式サイトにも“痛快「どコメディ」ホームドラマ”と書かれているが、そのコミカルさは、もはやコントのようですらある。思わず「なんで!?」とツッコんでしまうストーリーも然ることながら、俳優陣の演技もデフォルメされていて、より一層笑える雰囲気を創り上げているのだ。その中でも一際話題になっているのが、主演のHey! Say! JUMP・山田の変顔である。


 主にストーリーは山田の語りで進む。直接声を出さなくとも、心の声として山田のナレーションと表情での演技が挿入されることが多い。例えば、兄・姉の突拍子もない行動に心でツッコむ時や、姉にけなされてショックを受けた時、自分の中で葛藤が生まれた時などなど……。その度に目を大きく見開いたり、鼻の穴を広げてみたり、顔を真ん中に寄せてみたり、シチュエーションに合わせた変顔を披露し続けているのだ。その全力の変顔は、普段完璧なアイドルである山田からは想像できないほどである。


 Hey! Say! JUMPの楽曲「SUPER DELICATE」では、曲の最後、「君にしか見せられない顔がある」と歌った後、山田が変顔をするのがお決まりになっているのだが、それはかわいらしい寄り目程度の変顔で、“アイドル山田涼介”というリミッターを崩していない。しかし『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』の変顔は、このリミッターが外れていると言っても過言ではなく、アイドルの全力の変顔(ある意味のタブー)が見られるのも、このドラマの「勝ちポイント」だ。


 さらに、変顔だけでなく演じる役自体も新鮮で面白い。これまで山田は真面目な役や、いい子の役が多かった。近年では24時間テレビドラマスペシャル『母さん、俺は大丈夫』(日本テレビ系)で病に侵される佐々木諒平役、『カインとアベル』(フジテレビ系)で父に認められようと奮闘する高田優役などが顕著だろう。『金田一少年の事件簿』シリーズ(日本テレビ系)でもおちゃらけたシーンはあったものの、あくまでもヒーロー役の枠は超えていなかった。


 しかし今回の秀作は、1人で空回りし続ける少しダサい男の役だ。さらに兄・姉に毎回顎で使われ、言うことを聞かなければ容赦なく切り捨てられる。主役なのにダメ男でいじられキャラを、完璧なアイドルである山田が演じるギャップが新鮮なのだ。そして「思いっきり三枚目の役もできる」というメッセージを提示することにも成功しているのではないだろうか。


 2月3日に放送される第4話では、秀作が、自分より千葉雄大演じる執事見習い・楠木松也の方が知晶に大事にされていることを気にかける。今後のストーリー展開はもちろん、山田のコミカルな演技が見られることが何よりも楽しみだ。(高橋梓)