公務員の禁煙化が進んでいる。静岡県は今年4月から、本庁舎内の喫煙室を廃止し、建物内全面禁煙にする。喫煙者の健康促進、非喫煙者の受動喫煙防止や、来庁者の健康維持を目的としている。
県の健康指導課によると、職員のうち、本庁舎に勤務する職員の13.5%が喫煙者だという。2016年6月、知事と若手職員の歓談で知事から「分煙はしているが、もっと減らしていく政策はないのか」という話が出たことをきっかけに、禁煙に向け取り組みを進めてきた。
敷地内禁煙も検討したが「来庁者のことも考えやめた」
4月からは、本庁舎内にある10か所の喫煙所を廃止し、屋上と隣接する駐車場に喫煙所を設ける。新たに設けられる喫煙所に壁などはなく、外気に直接晒される形になる。検討段階では敷地内全面禁煙も案に上がっていたというが、喫煙所を探す来庁者もいるため、今回は見送った。今後、禁煙箇所を敷地内に拡大するかどうかは
「2003年に建物内全面禁煙の方針を出した際、庁舎内の禁煙を最終目的にしていたので、目標達成は出来たことになります。今後は国の動きや、喫煙者・非喫煙者の声を聞いて検討していきたいと思います」
と、周囲の動きを見て決めるという回答だった。
健康の観点から今後も禁煙を進めたい方針で、庁舎内の診療所ではニコチンパッチ等を用意し、禁煙治療の相談を受け付けるとしている。それでも、「建物内禁煙化決定後、これからも吸い続けると宣言した職員もいる」(同県庁担当者)ため、喫煙者を減らすのは時間がかかりそうだ。
大阪府は10年前から敷地内全面禁煙 「喫煙者からの不満は特に出ていない」
地方公務員の禁煙化は2010年頃から進んだ。同年2月に厚労省が、各都道府県知事宛に「受動喫煙防止対策について」という通知を出し、今後の受動喫煙対策について「少なくとも官公庁や医療施設においては、全面禁煙とすることが望ましい」という見解を出しており、これが影響したと見られる。
大阪府は全国に先駆け、2008年に敷地内全面禁煙に踏み切った。現在も続いているが、2015年には職員が敷地外の路上で喫煙する姿が問題になり、敷地の外に、府民も使える喫煙スペースを2か所設置している。
大阪府の担当者によると、禁煙を実施した10年前と現在を比較すると「たばこ税増税の影響もあるかもしれないが、喫煙者は減っている」と、禁煙政策の効果は一定程度あったようだ。喫煙者からの不満も、特に耳にしていないという。
厚労省は今月30日、健康増進法の改正案を提出した。医療機関や行政機関、学校などの公的機関では屋外も含め敷地内禁煙と定める方向と、同日の毎日新聞などが報じている。公務員の禁煙化は今後も進みそうだ。