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トヨタ若手育成の勝田貴元、“世界でもっとも寒い”ラップランドラリーで3位入賞

2018年01月29日 17:01  AUTOSPORT web

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アークティック・ラップランドラリーで総合3位を獲得した勝田貴元
1月25~27日、ラリーで世界を目指す若手ドライバーを支援する『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』の2018年シーズンが始動。同プログラムに参加している新井大輝、勝田貴元、足立さやかの3名がフィンランド・ラリー選手権第1戦に参戦し、勝田が3位入賞を果たした。

 2018年のラリーチャレンジプログラムも、トミ・マキネン・レーシング協力の元、さまざまなラリー選手権に参戦。その2018年初戦となったのは、フィンランド国内ラリー選手権の第1戦アークティック・ラップランドラリーだ。

 このイベントは“世界でもっとも寒いラリー”とも呼ばれ、気温が氷点下30度近くまで下がることもある極寒のなかで争われる1戦。高速イベントであり、ペースノートの正確性が問われる戦いでもある。

 2018年大会は全11SSで争われ、総SS距離は254.65km。新井と勝田が挑んだ最上位クラスは18台のR5マシンで争われた。

 今年で3度目の挑戦となった勝田は、2017年も使用したフォード・フィエスタR5でラリーに挑み、SS1で2番手を確保する。

 勝田はその後も滑りやすいコンディションのなか、危なげない走りをみせると、総合5番手で挑んだ最終SS11ではステージ3位を獲得。これでトップと2分36秒2差の総合3位にジャンプアップを果たした。

 走行後、勝田は「今回は今までで1番のパフォーマンスができたと感じており、とてもうれしいです」と喜びを語った。

「昨年からの最大の変更は、ペースノートの角度のスケールを変えたことです。それによって指示がよりシンプルで明確になり、レッキ(下見走行)もしやすくなりました」

「今回の目標は、まずは完走。そして、つねに10~20パーセントのマージンを持って走り、安定したペースを保ちながら本当に自信のあるところだけプッシュするということでした。その目標は達成できたと思います」

「学ぶこと、改善すべきことはまだたくさんありますが、正しい方向に進んでいると思います」

■新井はトラブル重なり総合12位。コドライバー足立は総合7位と健闘

 同じく3度目のラップランドラリー挑戦となった新井はSS2で雪壁にはまってしまい、約2分のタイムロスで出遅れ。SS7ではステージ2位を獲得するなど速さをみせたが、SS11でメカニカルトラブルに見舞われて後退し、総合12位で競技を終えている。

 トップ10フィニッシュはならなかったものの、新井は「今回はペースノートを簡素化したことで、走行中に余裕が生まれ、重要な情報に集中でき、とてもうまく作用しました」と収穫を明かす。

「残念ながら初日にコースオフしてしまい、最終ステージでもメカニカルトラブルによりタイムを失ってしまいましたが、自分が最も重視したのはよいペースの走りをすることでした」

 勝田、新井と異なり、コドライバーとしてプログラムに参画している足立は、ヤルッコ・ニカラとコンビを継続して参戦。R4規定車ベースのスバル・インプレッサWRX STIで、格上のR5マシンを相手にSS1で総合5番手を記録する好走をみせる。

 しかし、続くSS2ではフィニッシュ直前で木にヒットするアクシデントがあったほか、長距離ステージのSS4ではパワーステアリングが故障する不運もあり、初日を総合9番手で完走。

 競技2日目はマシンのセッティングを変更して挑み、順位を挽回。最終的に総合7を獲得している。

 プログラムでチーフインストラクターを務めるヨウニ・アンプヤは「アークティック・ラップランドラリーはレッキの回数に制限がないから、今回ペースノートの表現に変更を加えた我々のクルーにとっては有益だった」と語っている。

「勝田と新井はプログラム4年目となり経験も増えてきており、今年は結果・パフォーマンスにおいても成長が見られることを期待しているが、今回早くもそれが実現した」

「この高速ラリーで勝田が見せた安定性レベルを保つことは容易なことではない。足立も着実な成長を見せてくれた。学べば学ぶほど、新しい発見が増える」

「次のラリー・スウェーデンでは、ここで学んだことを皆が実践してくれると期待している」

 勝田、新井、足立が挑む次のイベントは、2月9~12日に開催されるWRC世界ラリー選手権第2戦スウェーデン。ラップランドラリー同様のフルスノーイベントだ。

 3組ともフィエスタR5での参戦を予定しており、ニカラ/足立組にとっては格上のR5マシンで挑む初めてのイベントとなる。