総合2位を獲得したオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC) 1月25~28日に行われた2018年のWRC世界ラリー選手権第1戦モンテカルロに3台のトヨタ・ヤリスWRCで挑んだTOYOTA GAZOO Racing WRTは、チーム加入初戦となったオット・タナクが総合2位、エースのヤリ-マティ・ラトバラが総合3位に入り、3台中2台が表彰台を獲得する活躍をみせた。
2017年まで所属していたMスポーツを離れ、今年からトヨタに加入したタナクは、競技スタート前日に行われたシェイクダウンから陣営最速タイムを記録する。
迎えた本戦でも、天候と路面状況が刻一刻と変化する難しいコンディションのなか、タナクは安定した走りで着実にポジションアップ。今大会で行われた17SS中4SSで最速タイムを記録する走りで総合2位を手にし、チーム移籍初戦を表彰台で飾った。
また、2017年のラリー・モンテカルロで総合2位を獲得しているラトバラも大きなミスなく4日間の行程を走破。タナクに続く総合3位となり、モンテカルロで2年連続の表彰台を手にしている。
新進気鋭の若手、エサペッカ・ラッピは最終SS17に総合4番手のポジションで臨んだが、13.58kmのコース中盤、前走車の影響で砂利が散乱していた右コーナーで曲がりきれずにオーバーランしてしまう。
ラッピはマシンをバックさせてコースに戻り、フィニッシュまで駆け抜けたものの、このタイムロスが響き総合7位。それでも最上位クラスで初参戦となったラリー・モンテカルロでポイントを獲得してみせた。
例年同様、難コンディションとなった2018年のラリー・モンテカルロで2台のヤリスWRCが表彰台を獲得したことを受け、チーム代表を務めるトミ・マキネンは「我々がWRCへの参戦を開始してから、チームはもっとも力強い状態にあると思う」とコメントしている。
「チーム全員が全力でラリーに臨む姿を見て、本当にうれしく思った。また、タナクのチームに溶け込む早さ、彼のプロフェッショナルな仕事ぶりと吸収スピードに、とても感動したよ」
「この調子を続けることができれば素晴らしいし、次のラリー・スウェーデンがとても楽しみだ」
昨年のチームメイト、オジエに続く総合2位を手にしたタナクは「非常に強力なチームに加わることができたと実感した。マシンは驚くほど素晴らしく、ラリー開始直後からずっと気持ちよくドライブすることができたよ。とても難しいコンディションでタフなラリーだったが、とくに大きな問題を抱えることなく走り切ることができた」とコメント。
ラトバラも「クルマの調子も非常によかったから、これからのシーズンが楽しみだ。冷静さを保ち、選手権とポイントのことを考えながら戦っていきたいと思う」と展望を明かした。
最終SSでミスがあったものの、経験豊富なチームメイトに引けを取らない走りをみせたラッピは「今はとても落ち込んでいるけど、それでもすべてのステージを走りきり、経験をさらに積み重ね、多くの学びを得たことをポジティブに捉えたいと思う」と語っている。
■豊田章男社長「このメンバーたちと今年もヤリスを走らせていけることを頼もしく思う」
また、WRC復帰2年目の初戦で2台のヤリスWRCが表彰台を手にするという結果を受け、チーム総代表の豊田章男トヨタ自動車社長もコメントを発表。「素晴らしい結果でシーズンのスタートを切ることができました。このメンバーたちとともに今年もヤリスを走らせていけること、本当に頼もしく思います」と述べた。
「アスファルト、雨水、雪、氷、泥のすべてが入り混じった難しい道でヤリスをゴールまで運んで来てくれたマキネン代表、メカニックやエンジニアなどチームの皆、そしてなにより6人のドライバーとコドライバーに敬意を表します」
「昨年11号車でモンテカルロを闘ってくれたメンバーは、今年は縁の下でチームを支えてくれるようになりました。ユホ(ハンニネン)は、セーフティクルーとして道の状態をドライバー達に伝える役を、カイ(リンドストローム)は、スポーティングダイレクターとして3台みんなが思いっきり走れるよう、調整をしてくれています」
「1年間、ともに『もっといいヤリス』を目指してきた仲間が、立場を変えて、また新たに一緒に闘っているということは何よりも心強いです」
「今シーズンは始まったばかり、これから極寒、高地、灼熱、そしてライバルたちの熟成……。闘いは厳しさを増してまいります。もっといいヤリスを作るため……素晴らしいチームの仲間達とそして、応援いただけるすべてのファンの皆さまと、世界中の道でヤリスを走らせていければと思います」
トヨタが挑む次なる戦いは、2月15~18日に行われる第2戦スウェーデン。2017年、トヨタが復帰2戦目で勝利を手にしたイベントだ。
スウェーデンを中心にシリーズ唯一のフルスノーイベントとして開催される1戦は、雪道用のスパイクタイヤと緩やかな高速コーナー主体のステージ構成が組み合わさるため、シリーズトップ3に入る高速イベントとなっている。