2018デイトナ24時間で総合優勝を飾った5号車キャデラックDPi-V.R デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されている『第65回ロレックス・デイトナ24時間レース』は1月28日、14時40分に24時間レースのチェッカーを迎え、マスタング・サンプリング・レーシングの5号車キャデラックDPi-V.R(ジョアオ・バルボサ/フィリペ・アルバカーキ/クリスチャン・フィッティパルディ組)が総合優勝を飾った。
レース序盤から最高峰のプロトタイプ(P)クラスを中心にタイヤのトラブルが頻発した2018年のデイトナ24時間。スタートから5時間後には通り雨もあったなか、5号車キャデラックは大きなトラブルに見舞われることもなく速く安定したペースで先頭集団の一角を担っていく。
レース中盤にはペースを上げてきたアキュラ・チーム・ペンスキーの6号車と7号車アキュラARX-05 DPiにワン・ツー体制を許すが、同じキャデラック陣営のウェレン・エンジニアリング・レーシングの31号車キャデラックDPi-V.Rとともにこれを追撃していった。
そんななかスタートから13時間過ぎにレースをリードする6号車アキュラにオルタネーターのトラブルが発生。アキュラ・ペンスキーの一角が優勝争いから脱落してしまう。
さらに2時間後の16時間30分過ぎには2番手を走っていた7号車アキュラと3番手の31号車キャデラックが接触。これにより7号車アキュラはマシンサイドボディ及び内部のラジエーターを破損したため修復作業を余儀なくされた。
2台のアキュラDPiがトップ争いから姿を消したことで楽な展開となった5号車キャデラックはその後、31号車キャデラックにも軽度のトラブルが発生したことから無理をすることなく快調に周回を重ねることができ、余裕を持った走りでトップチェッカー。
今大会はタイヤトラブルが多発したもののセーフティカーランを伴うフルコース・イエロー・コーションが24時間で計4回と例年と比べて極端に少なかったことから、優勝マシンの周回数は1992年にニッサンR91CP(星野一義/長谷見昌弘/鈴木利男組)が打ち立てた歴代最多周回数、762周を大きく更新する808周を数えている。
総合2位にはアクション・エクスプレス・レーシングの僚友である31号車キャデラックが入り、キャデラックDPiがワン・ツー・フィニッシュを達成。トップから1周遅れの総合3位はロマン・デュマ、ロイック・デュバルが助っ人として加入したCOREオートスポーツの54号車オレカ07・ギブソンが入った。
アキュラ・ペンスキーの後退後、総合3番手につけていたユナイテッド・オートスポーツの32号車リジェJS P217・ギブソンは、クラッチトラブルに見舞われことで18時間30分過ぎに入ったルーティンピットからのリスタートに約7分を要したことでポジションダウン。この影響が最後まで響き表彰台を逃している。
そんな32号車リジェの僚友でフェルナンド・アロンソもドライブした23号車リジェJS P217・ギブソンは、レース中盤に発生したブレーキトラブルが再発するなど、その後も不運に見舞われ総合38位/クラス13位でレースを終えた。
また、一時はトップを走ったアキュラDPi勢は7号車アキュラが総合9位、僚友6号車アキュラが総合10位となった。その他の日本勢ではマツダチーム・ヨーストの55号車マツダRT24-P DPiがエキゾーストからの発火、炎上によりリタイアしたほか、電気系トラブルなどで長らく修復作業を行なっていた77号車マツダも22時間過ぎにリタイア。
さらにテキーラ・パトロン・ESMの22号車ニッサンDPiがエンジントラブルで、2号車ニッサンもミッショントラブルによってリタイアを喫している。
GTル・マン(GTLM)クラスは5時間過ぎからライバルのコルベット、ポルシェ、フェラーリ、BMW勢を寄せ付けない圧倒的な速さでワン・ツー体制を築いていたフォード・チップ・ガナッシレーシングが、危なげないレース運びで表彰台の上段2枠を独占。
チェッカーまで2時間15分というタイミングで僚友66号車フォードGTを逆転してトップに立った67号車フォードGT(ライアン・ブリスコー/リチャード・ウェストブルック/スコット・ディクソン組)が、そのままチームメイトの追撃を許さずGTLMクラス優勝を飾った。
クラス3位以降はコルベット・レーシングの3号車、4号車コルベットC7.Rが続き、以下フェラーリ、ポルシェ、BMWが続いている。
FIA GT3で争われるGTデイトナ(GTD)クラスではレース中盤以降、マイケル・シャンク・レーシング(MSR)の86号車NSX GT3とGRT・グラッサー・レーシング・チームの11号車ランボルギーニ・ウラカンGT3、ポール・ミラー・モータースポーツの48号車ランボルギーニ・ウラカンGT3に加えて、メルセデスAMG-チーム・ライリー・モータースポーツの33号車メルセデスAMG GT3による四つ巴の接戦が繰り広げられ、各車がルーティンのピットインを行う度にラップリーダーが入れ替わる展開が12時間以上にわたって続いた。
そんな状態で迎えた最後の1時間、クラストップには11号車ランボルギーニがつけ、その背後に33号車AMGが約1秒差で続いた。その後、両車の差は徐々に詰まっていきチェッカーまで残り20分を切ったタイミングでは1秒以内にまで接近。
しかし、レース残り15分となったところで33号車AMGが燃料補給に入ったため白熱した接近戦は決着。11号車ランボルギーニがそのまま逃げ切りGTDクラストップチェッカーを受けた。
クラス2番手の33号車AMGがピットインしたことで同3番手から順位を上げた86号車NSXがクラス2位でフィニッシュ。同3位には48号車ランボルギーニが入り、33号車AMGはポディウム圏外の4位となった。
MSRの僚友93号車NSXは、レース序盤に行なったギヤボックスの修理時間が響きトップと10ラップ差のクラス11位完走。IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ初参戦となったHART(ホンダ・オブ・アメリカ・レーシング・チーム)の69号車NSXはクラス16位で初完走を果たした。
また、レクサスRC F GT3を走らせる3GTレーシングは、15号車レクサスがトップ10フィニッシュとなるクラス9位、14号車レクサスは同14位でチェッカーを受けている。
IMSAスポーツカー・チャンピオンシップの次戦、第2戦セブリング12時間レースは3月14~17日にフロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイ開催される。