2018年01月28日 11:02 弁護士ドットコム
サッチーこと野村沙知代さんが急逝したことにより、夫の野村克也さんの生活にも様々な変化が出ているようだ。
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週刊ポスト2月2日号「野村克也氏が初めて語る『男おひとりさま』正月と真実の愛」によると、いま、一番困っているのは「お金のありか」の問題だという。
克也さんの評論家としての収入は、沙知代さんが管理していたそうだが、「いきなりいなくなってしまうとお金がどこにどれだけ入っているかもわからない。銀行に聞いても個人情報とかなんとかでなかなか教えてくれない。克則が調べてくれているけど、難儀な世の中だよ」とボヤいている。
預金管理を一切任せていた妻が急逝した場合、その金額を把握し、払い戻しをするためにはどうすればいいのだろうか。新保英毅弁護士に聞いた。
夫名義の預金を妻が管理していた場合はどうすればいいのか。
「亡妻が夫名義の預金を管理していた場合、夫はめぼしい銀行に自分名義の預金の照会をすれば、預金の有無と残高を調査することは可能です。
ただし、(妻が管理していた)通帳や印鑑が見当たらず、資金の出所もわからない場合、銀行は、真の預金権利者が名義人以外にいる(借名預金)のではないか疑って、たとえ名義人本人であっても払戻に応じない可能性があります。
この場合、夫と他の相続人(子や親、兄弟姉妹)と銀行との間で、預金者が亡妻か夫のいずれかを確定させる必要があります。話し合いで解決できない場合、預金払戻請求や遺産確認請求の民事訴訟をする必要があります」
通帳や印鑑も見当たらない場合、なかなか大変な事態になる可能性もありそうだ。
では、夫の財産も含めて、妻名義の通帳で管理されていた場合はどうなるのか。
「この場合、夫は、亡妻の相続人として、銀行に相続預金の照会をすれば預金の有無・残高は分かります。
夫がこの預金を相続財産として扱うことに異論がなければ、夫と他の相続人との間で遺産分割協議をし、相続預金の払戻請求手続をすればいいでしょう。
ただし、先ほどのケースと逆で、妻名義の預金でも、夫の資金により形成されたものであれば、実質的には夫の預金と評価される可能性もあります。夫がこの預金の権利者は自分であると主張するためには、銀行や他の相続人を相手取って、預金払戻請求及び預金確認請求の民事訴訟をする必要があります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
新保 英毅(しんぼ・ひでたか)弁護士
2004年弁護士登録。相続・遺産分割事件、中小企業の法務の案件を多く取り扱っている。モットーは「依頼者ひとりひとりに適したオーダーメイドのサービス」。
事務所名:新保法律事務所
事務所URL:http://shinbo-law.com/about.php