結婚というものは、恋愛が盛り上がった先にあるというのがまだまだ一般的なのだろうか。先日のはてな匿名ダイアリーに「恋してないけど結婚する」と書き込んだ女性がいる。女性はこの春に入籍する予定だが、「結婚=ラブラブだからするもの」という世間の認識にズレと居心地の悪さを感じているという。(文:みゆくらけん)
女性が訴えたいのは「結婚に必ずしも恋愛が必要だとは思っていない」ということだ。相手のことを人間的に好きで、生活スタイルや経済状況が合って一緒にいる空気が心地良いと感じたなら、それで共存していけるという考え。「コイツといると楽だわ・・・推し友だわ・・・」という親愛の情が継続した結果、
「コイツが相手なら子どもを産もう。産まれたらあそこ連れてこ、ああしよこうしよ。うわっ人生設計もできたわ~。よっし!なんかもう一緒に住むか!」
と思って結婚するのだという。
「彼のことは好きだ。今後の人生60年、共に生きていけると感じたから結婚する」
もともと恋愛が面倒臭いタイプでロマンチックぶった演出も嫌いなため、結婚式も挙げない予定。しかし「興味ないから式挙げません」というと周囲からは「その人のこと、本当に好きなの?」「もっと心ときめく、本当に好きな人と結婚しなさいよ」などといわれるのだという。
他にも結婚というと、「彼のこと愛してるのね~。運命の人でラブラブなのね。彼格好いい?ドキドキする?」などという人もいるが、あまりの解釈の違いに辟易するのだとか。
「恋してる・愛してるから結婚するんじゃなくて、パートナー(相方)になりたいから結婚するんだ」
「好き=男女の恋愛」という周囲の決めつけにとにかく違和感を覚えるという女性。確かに世間の考えとは少し違うかもしれないが、ドライなのではなく、ただ冷静なだけのような気がする。「彼のことは好きだ。今後の人生60年、共に生きていけると感じたから結婚する」という書き込みからも、その覚悟は感じられる。
恋愛気分が高まったムードと勢いで結婚するのは危険
この投稿へは「今年一番うらやましい」「幸せそうじゃないか!ちくしょう!お幸せに!」「大変共感する」などという肯定コメントが多数集まった。恋愛の有無は関係なしに「一緒に過ごしたい人を見つけて、将来を約束したのはめでたいこと」というエールも。また、
「愛情の情の方だ。家族に一番必要なやつ」
「たぶんラブラブのまま結婚するよりも長くて濃ゆいお付き合いになると思いますわよ」
というコメントも。中には「え?その感覚を恋愛っていうんじゃないの?」と戸惑う声もあったが、オスメスの求愛が入り混じったいわゆる「恋愛」とはやはりちょっと別種だ。そして、この「ちょっと別種」な親愛の情で結婚することに対し、筆者もかなり「それいいね!」という気持ちだ。
この女性の考えほど極端ではないにしろ、筆者も似た気持ちで結婚した。周囲から「ラブラブですね」みたいなことをいわれるたびにムズ痒い違和感。いや、大好きは大好きなのだが、周囲のいう「大好き」の種類とは若干質が違う気がしていた。
っていうか、恋愛気分が高まったムードと勢いでする結婚など絶対に御免だった。なぜならそれは、オンナの人生で最も足を踏み外しやすいブラックホールで、死ぬほど危険なことだと考えていたからだ。
思考回路が脳内麻薬にヤラれておかしくなっている絶賛恋愛中は、冷静な判断ができない。そんなイカれた恋愛脳で人生の大事な選択を間違えたくない、だって「実はモラハラ男だった」とかだったらどうすんの?って思っていたから。結果、結婚生活派順調にいっている(現段階では)。中には
「とても良いと思うが、子どもを体外受精でつくるのかだけが気になる」
という声もあったが、そこは心配が過ぎている。「もうすっかり落ち着いた感のある熟年夫婦だって普通に子ども作ってますやん」といいたい。
ともかく、同棲してから結婚するカップルも増えた今は、結婚当初から熟年の雰囲気を醸し出していることも多く、昔のように「新婚時代が一番良い時よ」的な考えは廃れていくのだろう。
「タクシーの運転手の話。『新婚旅行ではしゃぐ客は見合い。恋愛結婚だと飽きた感じ』」
コメントにあったこの言葉に妙に納得させられる。