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『トドメの接吻』門脇麦が語る、山崎賢人ら同世代への思い「大丈夫、今の世代も頑張っていける」

2018年01月28日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 毎週、主演の山崎賢人が魅せる衝撃的なキスシーンが話題の『トドメの接吻』(日本テレビ系)。これまで放送された第3話まででは、山崎演じる旺太郎が、ずっと狙われていると思い込んでいた“キス女”(門脇麦)が、実は助けるためにキスをしていたことが発覚。“キス女”こと宰子のキスでタイムリープする力を使い、のし上がろうと企む旺太郎は、宰子に契約を迫る。


参考:門脇麦 写真


 リアルサウンド映画部では、第1話、第2話での不気味な佇まいから、第3話では可愛らしい素振りを見せていた宰子を演じる門脇麦にインタビュー。同世代の役者が揃った本作に対しての思いや、山崎とのラブストーリーへの挑戦について語ってもらった。


■「絶対に私にはオファーはこないと半ば諦めていた」


ーー門脇さんの役柄である佐藤宰子は、人を“キスで殺す女”です。この役柄を演じることが決まったときの心境は?


門脇:事務所の方から最初に、「賢人くんと一緒にドラマをやるよ」と言われて、しかもラブストーリーとのことだったので、すごく嬉しかったんです。賢人くんはこれまでたくさんのラブコメ的な恋愛モノの作品に出演してきて、私もいつかはそういう作品に出演できたらいいなって思っていましたから。でも、絶対に私にはオファーはこないだろうなと半ば諦めてもいたので、話を聞いた瞬間は「え?」と驚いていたんです。ところが、よくよく話を聞いてみたら「キスで殺す女の役」ということだったので、「まあそうだよな」って(笑)。でも、作品のことをより詳しく聞いていくと、今までにない斬新な設定だったので、期待が膨らんでいきました。


ーータイムリープはドラマや映画において定番の題材ですが、門脇さん自身はお好きですか?


門脇:夢があるなと思います。SF作品は大好きで、定番ですけれど『時をかける少女』は、何回観ても最後に号泣してしまいます。誰しもやり直したいことはあると思いますし、そういう設定って物語だからこそ描けることですよね。タイムリープとはまたちょっと違いますけど、『ビッグ』(1988年)という映画も好きです。主人公の少年が時間を飛ばして大人になり、女性と恋をするのですが、実は小学生だったことがバレてしまい、「大きくなったらまた迎えにきてね」という感じで別れる、ちょっと切ない物語なんです。


ーー『トドメの接吻』ならではのタイムリープの魅力を教えてください。


門脇:『トドメの接吻』のタイムリープは、やり直したいからというより成り上がっていくために時間を使っていく話なので、その点は新しいなと感じます。それに、キスをして時間が戻るというところも新しいですよね。時間が戻るっていう設定はあるけど、その場では本人たちが死んでしまうというのも、あんまり今までなかったんじゃないかな。


■「みんなドラマとしての見せ方も上手い」


ーー同世代の方が多い現場ですね。


門脇:第1話を観た時に、素直にすごく嬉しい気持ちがこみ上げました。私は25歳で今回、菅田(将暉)くんと私が最年長で、(新田)真剣佑くんなんてまだ21歳です。現在30代の俳優さんたちが20代だった頃に比べて、自分たちの世代が力不足なのをひしひしと感じていて、素敵な役者さんはもちろんたくさんいるんですけど、でもそこに力強さみたいなものを感じる作品にはあまり出会えませんでした。でも、『トドメの接吻』の第1話を観て、初めて「大丈夫、今の世代も頑張っていける」と感じました。


ーー特に、どういう部分で感じたのですか?


門脇:メインの役者さんたちが全員素敵。ドラマでの演技の上手さと映画での演技の上手さってちょっと違うと思うんですけど、みんなドラマとしての見せ方も上手い。結構、突拍子も無いキャラクターが多いのに、みんなが演じる役からはちゃんと厚みを感じられる。賢人くんが演じる旺太郎は、“クズのホストナンバーワン”って、つい表面的になりがちなキャラなのですが、ちゃんと哀愁もあるし、どこか憎めないところもある。真剣佑くんも全身真っ白の御曹司で、しかもあんな美しい顔立ちで、浮世離れしちゃいそうなのに、ちゃんと悲しみとか葛藤、苛立ちが見える。第1話では、みんなの出演シーンは決して多くはないのにも関わらず、それを感じさせるのはすごいなと。みんな、見る人の心にフックをかけてくる。


ーー現場でのやり取りでも、それは感じますか?


門脇:まだ賢人くんとのシーンしかほとんどなくて、他の方たちの演技の様子はモニターなどでしか見ていませんが、私自身、自分が出ていないシーンでこんなにモニターの前にかじりついてるのは初めてで。やっぱり見ていて面白いですね。


ーー先ほど、「自分たちの世代は力不足」とも言ってました。それは具体的にどんなところでしょうか?


門脇:難しい問題ですよね。世の中の流れとかもあるし、そうじゃない人もたくさんいるので、一概には言えませんが、若者が淡白になりつつあるようには感じています。


 例えば、今の60代の方に、勝てないなと感じる生命力というか、底知れぬバイタリティを感じる瞬間が私は多くて。昔の日本の映画にもそういう力強さを感じたりもします。『男女7人夏物語』(TBS系)など、“ドラマ全盛期”の作品がすごく好きで、ああいう熱を帯びた感じって、今のドラマにはないなと思う瞬間もあります。今、若い役者さんたちも魅力的であることは確かなのですが、単純に“パワー”が足りないのかもしれなません。


 私たちは今、物質的に恵まれた時代に生きていて、“勝ち取ってやろう”とか、“這い上がろう”とか、“生き抜こう”みたいな、そういう本能的な感情がなくてもやっていけます。だからこそ、物事が希薄に感じてしまうことが度々あるのかもしれません。ただ、100年ほど前に書かれた昔の若者の本を読むと、「人間はみんな孤独で、昔は熱があったけど今は虚しい時代だ」とか書いてあるから、いつの時代もみんな言ってることは一緒なのかな(笑)。


■「賢人くんが甘えられるくらい、どーんと広い器で」


ーー山崎さんが現場では“座長”として、菅田さんは「僕は皆の一番後ろ、しんがりとして務めていければ」とコメントしていました。門脇さんはどんな役割ですか?


門脇:朝ドラ『まれ』(NHK)で共演したみんなのことはいつも心配して見守っているし、元気かな、疲れてないかなって、テレビで見かける度に気に掛けるんですが、賢人くんもずっとそうやって気にかけてきたひとりです。やっとまた共演できて、しかも今までに比べると、しっかりと一緒に組める再共演の機会をいただけました。ただの共演者というよりは、私の方が年上で、「お姉ちゃんみたい」って言ってくれてるので、少しでも安心してもらえればというか、暖かく見守りつつ、お互い支え合いたいなという気持ちでいます。賢人くんが甘えられるくらい、どーんと広い器でいつも隣にいれるようにしたいです。


ーー今後の展開はどうなるのでしょうか。


門脇:私自身もこのドラマの結末を知らないので、完全に視聴者の方と一緒の気持ちで、台本が来るたびに「え、どうなるのこの先?」みたいな気持ちでいます。第3話の最後で、旺太郎から「契約しろ」ってノックを叩かれてる状態ですけど、そこに宰子がどう答えるのかが見どころですね。宰子の身の回りで、そのノックを返そうか迷うような出来事も発生するので、それをどう解決するのかもしっかり見てもらいたいです。


※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記。


(大和田茉椰)