ザック・ブラウン率いるユナイテッド・オートスポーツからロレックス・デイトナ24時間レースに初挑戦しているフェルナンド・アロンソ。1月25日に行われた公式予選では、自らアタックを行い総合13番手を獲得した。
“世界の三大レース制覇”を究極の目的に掲げているF1チャンピオンのフェルナンド・アロンソは、ル・マン24時間レースでの優勝を目指し、そのトレーニングとして今年のデイトナ24時間にエントリーしてきた。
F1で2018年もマクラーレンで走る契約を済ませた直後、アロンソはチームのボス、ザック・ブラウンにデイトナへの出場意欲を告げ、アロンソの情熱を意気に感じたブラウンは自らが持つスポーツカーチーム、ユナイテッド・オートスポーツのリジェJS P217・ギブソン(LMP2のワンメイク・エンジン=4.2リッターV8搭載)による2台体制を用意した。
シングルエントリーとしなかったのは「F1と同じように2台で情報収集して戦うことが好成績に繋がる。フェルナンド(・アロンソ)もそうした戦い方に慣れている」という論理からだったというブラウン。チームメイトはふたりのイギリス人、フィル・ハンソンとランド・ノリスが起用された。どちらも19歳の若さで、アロンソとノリスは今回が初めてのスポーツカーレースである。
1月初旬に開催されたデイトナでの合同テストを走り、マシンのハンドリングを今ひとつ思い通りに仕上げ切れなかったアロンソ陣営は、新しいセッティングを施したマシンをハンソンに託して今朝のプラクティス1を走り出した。アロンソは普段着のままピットにおり、走らないつもりだった。
「少しでもスポーツカーの経験があるドライバーが走った方が違いに気づくだろうと考えたからだ」とアロンソ。
しかし、若いハンソンはわずか5周目にしてターン5でクラッシュ。その前の4周目に記録したベストラップは1分40秒413で、セッティングが向上が果たされていると楽観はできなかった。マシンが予選、さらには決勝に向けて完全に修復し切れれるのかとの不安も抱えることとなった。
プラクティス2ではノリスがまず走り、セッション後半をアロンソが担当。ベストはノリスの記録した1分1分37秒960と大きくジャンプアップした。合同テストでは予選モードでアロンソが走った際の1分37秒515がベストで、まだそのレベルには達していないが、少なくともマシンにアクシデントのダメージはないことが判明した。
空は青いが気温は低いコンディションで予選は行われ、全長3.56マイルのコースで1分36秒083をマーク。ポールポジションを獲得したのは31歳のオランダ人ドライバー、レンジャー・バン・デル・ザンデだった。昨年のデイトナ24時間でデビューウインを飾り、シリーズチャンピオンにも輝いたコニカミノルタ・キャデラックDPi-V.Rの10号車キャデラックに乗ってのものだった。
合同テストでの予選は今週末の本番での使用ガレージを決めるためのものだったが、今日の予選でもアタックはアロンソが担当。プロトタイプマシンで初めて挑んだ予選での結果は13番手となった。これはスポーツカー経験を持つドライバーたちを集めたチームメイトの32号車リジェを上回るリザルトだ。
アロンソは「走り出しの最初の2ラップは生き残ることに懸命だった。熱が入る前のタイヤはグリップが低い。リスクを最小限に留めてアタックの時を待った。そして、最後の2周で勝負し、思い切りアタックした」とスポーツカーでの初予選を振り返る。
「いい仕事ができたと思うよ。自分たちのパフォーマンスには満足している。しかし、まだスピードは足りていないね。自分たちよりも高い能力を発揮しているチームも多くある」
「しかし、レースは24時間と長い。そこでライバルたちとの差を詰め、競争力を見せたい。僕たちは新しいチームだし、ドライバー3人のうちで自分を含めたふたりがルーキーなのだから、多くを学ばなくてはならないんだ」と話した。
また、「ル・マン24時間と同じように、デイトナ24時間に対しても僕は敬意を払いたい。多くのドライバーとチームが伝統あるレースにおいて豊富な経験を重ねてきている。今日の予選で僕たちは彼らのうちのいくつかのチームよりも上位のポジションを手に入れた。少々驚きであると同時に、自分たちの成績を喜びたい」と語った。
レースに向けては、「24時間レースだから予選は重要ではない。長いレースで力を発揮できることを楽しみにしているんだ。予選を終え、決勝に向けてとてもエキサイトしているよ」と話し、ナイトプラクティスで5番手につける活躍を見せた。
デイトナで非常に重要な意味を持つ夜間走行で、彼はトップと0.3秒差という速いラップをマーク。あとはそれをどれだけコンスタントに記録し続けられるか。そして、チームメイトたちにも同じパフォーマンスが要求される。