たびたび物議を醸す政治家の問題発言。1月24日には奈良県安堵町の増井敬史町議が、特定の国会議員を「在日コリアン」と決めつけて「股裂きの刑にしてやりたい」などとFacebookに書き込んだことが問題になった。こういうことがあると、政治家としてよりも「人として大丈夫?」と疑いたくなる。
リサーチ・アンド・ディベロプメントは、首都圏在住の男女3000人に「いまの政治家に欠けていると思うもの」を調査。分析結果を25日に発表した。最も多かったのが「庶民的感覚・世間的常識」という結果になった。(文:okei)
政治家に欠けるもの、以前は「実行力」だったが今や「常識」に
調査は2017年10月、首都圏在住の18~79歳の男女3000人を対象に、訪問・郵送併用で行った。「いまの政治家に欠けていると思うもの」上位は下記の通りとなる。
1位:「庶民的感覚・世間的常識」
2位:「責任感」
3位:「金銭面の清潔さ」
4位:「実行力・行動力」、5位:「将来を見通す先見力」と続く。
一方、1996年の調査では、
1位:「実行力・行動力」
2位:「金銭面の清潔さ」
3位:「責任感」
で、4位は「信念、一貫した主義・主張」、5位が「将来を見通す先見力」。今回1位の「庶民的感覚・世間的常識」は、6位だった。
政治家に欠けていると思うものが、「実行力・行動力」から「庶民的感覚・世間的常識」に変わっているのだ。同調査は、
「この20年間で政治家に対する評価軸が『任せられるリーダー』から『人として信頼できる』に変化しているように感じられます」
とコメントしている。
「一部だけで通用する暗黙のルール"は通用しにくくなっている」
さらに、以前より政治家と一般庶民が住む世界の(意識の)垣根がなくなりつつあり、「一部だけで通用する暗黙のルール"は通用しにくくなっています」として、次のように指摘している。
「代わりに誰もが納得するルールだけが求められていて、その"誰もが納得する"かどうかの判断基準が『人としてどうなのか』ということなのだと思います」
「誰もが納得する」ことはかなり難しいことだが、これまで議会の中や支持者内の世界だけで通じていた考え方や行動は、どうやら世間とかなりずれていることが多いようだ。
議員の問題発言は以前から取り沙汰されていたが、相次ぐ内部告発やSNSの普及によってさらに頻繁に見聞きするようになった。あえて過激なツイートで注目を集めようとしている議員もいるのではと思われる。
24日には自民党の杉田水脈衆議院議員が「待機児童なんて一人もいない、待機しているのは預けたい親でしょ」などとツイートして、働く母親たちから大ブーイングを浴びている。2014年の都議会セクハラやじ問題もいまだ記憶に新しく、そうした事例は枚挙にいとまがない。
世間的常識からずれた言動にガッカリさせられ続けているのだから、調査結果は当然の成り行きというものだろう。