F1が設置したシンクタンクのメンバーであるパット・シモンズは、スポーツの面白さを守るために、将来導入予定の新レギュレーションでは“意外性のなさ”を排除して3つのパフォーマンス差別化要素に焦点を当てるべきだと語った。
このシンクタンクは、2017年にF1のスポーツ担当責任者であるロス・ブラウンが専門家たちを招いて構成したもので、ブラウンとメンバーたちは、F1の将来の基礎となる枠組みや指針を発表するために作業を続けている。
シモンズは、F1を再び偉大なスポーツにするためのメンバーの考え方とこれまでの検討状況の一端について、以下のように語った。
「現在のF1技術規則は21の項目に分かれている」とシモンズは説明する。
「ひとつずつ見ていくと、いくつかについてはショー的な要素とは関連性が薄いことが分かる。そこで我々は、技術的な側面から3つのパフォーマンス差別化要素を設定したいと考えた」
「ひとつ目はエアロダイナミクスだ。多くの人にとって興味深い要素のはずだが、これまで誰もパフォーマンス差別化の要素としては規則に書き込んでこなかった。我々はこれをF1の面白さに影響を与える要素のひとつにすべきだと考えた」
「同じくらい大事なのがパワーユニットだ。F1に関わっているマニュファクチャラーにとっては重要な問題だといえる。ファンにとって興味深い要素なので、パフォーマンスで差が出る要素にすべきだ」とルノーやウイリアムズで技術責任者を歴任してきたシモンズは語った。
「最後はサスペンション。つまり、タイヤの扱い方、各チームにおけるタイヤの使用方法という意味だ。我々としてはこれら3つの技術的な差別化要素を盛り込みたいと考えている」
シモンズは、意外性のなさがファンの興味を削ぐ主な原因だと強調する。したがって、不確実性を織り込むことでF1に互角の戦いができる余地が生まれ、そしてそれはコストの削減を通じてしか実現できないのだとして、以下のように述べた。
「コストが、指導者たちに将来のF1に関する強い印象を与える上で難しい問題として立ちふさがっている」
「我々は意外性のなさを排除したい。過去数十年にわたって、レースにおける最悪の時期というのは、結果が見えてしまっていた頃だった」
「メルセデスが優勢なときでも、多少そうした意外性があった。少なくとも数年間は、どちらのドライバーが勝てるか予測がつかなかった」
「我々はショーが観たい。視覚的な魅力が欲しい。ドライバーの果たす役割を実感したいのだ。サーキットにいる観客とテレビの視聴者では求めるものが違う。我々はそれぞれの不満に目を向けるべきだ」
「そして、レースウイーク中の体験についても考えなければいけない。もはや、日曜日に何が起こるのかだけを考えるだけでは不十分なのだ」