映画『軍中楽園』が、5月に東京・渋谷のユーロスペース、大阪・シネマート心斎橋ほか全国で順次公開される。
同作の舞台は、1950年代から70年代にかけて中国本土との絶え間ない緊張関係に置かれていた台湾の離島・金門島。1969年、台湾南部出身の青年ルオ・バオタイは、金門島に兵士として派遣され、過酷な訓練で知られる「海龍蛙兵」に配属されるが、公然の秘密として軍が認めてきた娼館「831部隊」に転属された後に本当の試練に直面するというあらすじだ。
メガホンを取ったのは、ニウ・チェンザー。出演者にはイーサン・ルアン、レジーナ・ワン、チェン・ジェンビン、チェン・イーハンらが名を連ねる。編集にはホウ・シャオシェンが協力。同作は、2014年に台湾の『アカデミー賞』と称される『金馬奨映画祭』で最優秀助演男優賞と優秀助演女優賞を獲得したほか、『ベルリン国際映画祭』『釜山国際映画祭』などに出品された。
■ニウ・チェンザー監督のコメント
このテーマを私が選んだのではない、このテーマに選ばれたのだ。
今回私は初めて幼い頃の記憶をたどり、深くしまいこんできた感情と対峙しました。そして、父の世代が抱いてきた望郷の思いと、不本意にも故郷を奪われた悲しみを描こうとつとめました。
歴史から葬られた彼ら一人一人の物語、愛、そして言葉にならない悲しみを、映画を通して伝えようと思いました。