2017年のMotoGPクラスは、総転倒数313回と、2016年の記録(288回)を25回上回る転倒が発生した。2006年以降のデータで見ると、歴代トップの年間転倒数となる。
2015年までのブリヂストンタイヤのワンメイクタイヤ時代は転倒の最も多かった2015年でも215回だったのに対して、ミシュランタイヤのワンメイクとなった2016年は288回と一気に転倒数が増えている。特に多かったのがフロントからの転倒で、2017年に向けてはその対策が取られたものの、やはりフロントからの転倒が多く見られた。
2017年シーズンで最も転倒回数が多かったライダーは誰だったのか。転倒回数上位5名のライダーをランキング形式でお届けする。
ーーーーーーーーーーーー
【第5位】
アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)
転倒回数:19回
2016年は15回転倒していたアレイシ・エスパルガロ。2017年よりアプリリアに加入したアレイシは決勝での転倒回数は4回に止まったが、シーズントータル19回の転倒を喫した。
【第4位】
カル・クラッチロー(LCRホンダ)
転倒回数:24回
2016年は2勝を記録しランキング7位を獲得したカル・クラッチローだが、MotoGPクラスの転倒ランキングではトップの26回だった。
2017年も転倒が多く、3位表彰台1回に止まり、決勝で7回転倒したこともあり、ランキング9位に後退。開幕戦カタールの決勝では、タイヤチョイスを外したこともあったが、決勝中に2回転倒した。
また、雨の第15戦日本GPでも決勝中に2回転倒している。クラッチローもフロントからの転倒が多く、タイヤとのマッチングに苦戦していた模様。第7戦カタルーニャGPのフリー走行2回目の転倒ではメディカルに運ばれたが、幸い大きなケガはなかった。
【第3位】
アルバロ・バウティスタ(プルアンドベア・アスパー・チーム)
転倒回数:26回
アルバロ・バウティスタはシーズン通算26回の転倒。2016年は16回の転倒を記録しているが、2017年は10回増加。2017年は決勝で10回転倒しており、第3戦アメリカGPでは転倒しながら再スタートして15位に入賞した一方、最終戦バレンシアGPでは決勝中に2度転倒しリタイアとなった。
シーズン序盤、5戦中4戦の決勝で転倒していることからも、タイヤとのマッチングで苦労していた様子がうかがえる。それでもランキングは2016年と同じ12位をキープした。
【第2位】
マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)
転倒回数:27回
2017年MotoGPチャンピオンのマルケスはシーズン27回転倒。ただし、その内、決勝レースで転倒したのは第2戦アルゼンチンGPと第5戦フランスGPの2レースのみ。マルケスは転倒回数こそ多いものの、マシントラブルに見舞われた第12戦イギリスGPを含めて、2017年は3回のノーポイントレースに止めたことがチャンピオン獲得につながった。
マルケスの転倒のほとんどは、フリー走行や予選、ウオームアップで起こっており、決勝までのセッションでマシンやタイヤの限界を確認するためにマルケスが100%プッシュしていたことがうかがえる。そうして、決勝前までに限界を把握することでレースでの転倒を最小限に止めた。
また、最終戦バレンシアの決勝で見せたように、ほとんど転倒しながら、驚異的なリカバリーで転倒を回避するシーンを何度か見せるなど、マルケスのライディングテクニックは新たな領域に踏み込んだのかもしれない。
【第1位】
サム・ロウズ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)
転倒回数:31回
ルーキーのロウズがMotoGPクラスの転倒ランキングトップ。3クラス総合でも2年連続トップという記録を樹立した。
2016年のMoto2時代にも最多転倒記録を持つロウズだが、2017年はヘレス、イタリア、カタルーニャ、レッドブルリンク、フィリップアイランドを除く全てのサーキットで転倒を経験。
ミサノではウイーク中に5回転倒を喫している。転倒の多さが物語るとおり、ランキングではレギュラーライダー最下位の25位で終わった。転倒数トップ5にふたりのアプリリアライダーが入っていることから、アプリリアがタイヤのマッチングに問題を抱えていたことがうかがえる。