F1の新たなデジタルプラットフォームが現実のものになろうとしている。新しいサービスである“オーバー・ザ・トップ(OTT)”の詳細が明らかになってきたのだ。
F1の新オーナーは昨年、オンラインで提供するコンテンツの大幅な変更を検討してきた。通常のテレビ放送とともに、グランプリの週末についての配信内容を増やす予定だという。
F1 Broadcastingによると、元GP2解説者でNBCのピットレーンレポーターを務めたウィル・バクストンがこのサービスの顔になるという。その他のプレゼンターとしてジェームス・アレン、ジョニー・ハーバート、ロザンナ・テナントの名前が挙がっている。
配信内容には、すべてのマシンからのオンボード映像が含まれる予定だ。また下位シリーズの生中継や、F1ビデオアーカイブへの完全アクセスが提供されるという。レース解説はSky Sports F1からのライセンスを受け、デイビッド・クロフトとマーティン・ブランドルが担当すると見られている。
報道ではまた、新たなOTTサービスは開始当初はアメリカ、メキシコ、ドイツ、フランス、オランダの5カ国で利用可能になると伝えられている。サービスの開始日はまだ発表されていないものの、開始前にスペインと中南米もサービス提供のラインアップに加えられる可能性がある。
「我々のデジタルプラットフォームの再始動が計画されている」とF1の商業担当取締役を務めるショーン・ブラッチスはAuto Motor und Sportに述べた。
「生中継および録画コンテンツの両方をファンへ届ける、ダイレクトストリーミングを導入する。ファンはマシンから、直接データを入手することができるようになる」
「一部データは無料で入手できるが、一方で熱心なファンに向けては有料サービスを設ける」
ブラッチスの取り組みは、テレビ放映権を第一としたF1の前CEO、バーニー・エクレストンのそれとは非常に対照的だ。
「両方の並存が可能であることを、マーケットは証明してきている。他のスポーツはすでにもっと先を行っている。テレビ放送のパートナーを置き去りにするわけではない」
「今年、我々は新たなテレビ向けグラフィックスのプラットフォームを提供する。これまでよりも視聴者に配慮したコンテンツを届けるものだ」と彼は説明した。
ブラッチスはまた、F1は無料放送から有料放送へテレビ契約を大きく切り替えるのではないかという懸念を一蹴した。
「無料放送の意味は届けることにあるが、有料放送は収益となる。レースの25から30パーセントをテレビで無料放送し、残りを有料化できれば理想的だ。フランスや他の国々ではそれで上手くいっている」
「だが、このモデルにまだ移行すべきでない国々もあるだろう」と最後にブラッチスは述べた。