1月25日に開幕するIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ(WSCC)第1戦デイトナ24時間レースを前に、シリーズをプロモートするIMSAは公式テストのデータを元に改正されたレース用BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)を発表した。
年明け直後の5~7日、本戦の舞台となるデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで恒例の事前テスト『ロア・ビフォア・ロレックス24』が行われたが、ここでは計7回のセッションすべてでキャデラックDPi-V.Rがタイムシートの最上段を譲らず。4台のキャデラック勢は総合結果でもアキュラ、ニッサン、マツダのDPi勢や、オレカ、リジェ、ライリーのLMP2勢を退けトップ4を独占してみせた。
この結果を受けIMSAは公式テストで用いられた性能調整値を改正。3日間のテストで得られたテレメトリーシステムやロガーのデータから各車のパフォーマンスを再計算し、新たにデイトナ24時間本戦用のBoPとして発表している。
新BoPの内容を見てみると、まず最高峰のプロトタイプ(P)クラスでは“ロア24”で他陣営を圧倒する速さをみせたキャデラックDPiの性能が抑制される一方で、マツダRT24-P DPiとニッサンDPiのパフォーマンスを向上させる方向に数値が変更された。
具体的には今季、6.2L V8NAエンジンから5.5L V8NAエンジンにスイッチしたキャデラックDPiのエアリストリクター径がφ33.2mm×2からφ31.6mm×2に縮小され、エンジンパワーの抑制が図られた。NAのキャデラックに対してターボエンジンを搭載するニッサンDPiでは過給器のブーストレシオの最大値が上げられており、コーナーからの立ち上がりや最高速の面で恩恵を受けることになりそうだ。
ニッサンDPiと同様、ターボ車のマツダDPiは最低重量が930kgから915kgに変更されたほかエンジンの最高回転数が8300rpmから8600rpmとなったが、ブーストレシオはテスト時の数値より下げられている。
先のテストで総合5番手に入ったアキュラARX-05 DPiについては、スピードに直結する数値に変更はないものの燃料タンク容量が4.0L拡大されたほか、給油リグのリストリクターがφ1.5mm拡大されている。なお、LMP2勢についてはいずれの変更もみられなかった。
■ニューカマーの『BMW M8 GTE』の調整値を緩和
コルベット、フェラーリ、フォード、ポルシェ、BMWの5メーカーが毎戦激しい戦いを接近戦を繰り広げているGTル・マン(GTLM)クラスでは、BMWが投入する新型GTEマシン『M8 GTE』に性能調整が加わった。
BMWチームRLL(レイホール・レターマン・ラニガンレーシング)が走らせるBMW M8 GTEは、先日のテストでライバル勢と遜色ない周回数をラップするも、ベストタイムではGTLMクラストップとなったフォード・チップ・ガナッシレーシングの66号車フォードGTから約1.4秒遅れるなど、スピードの面でやや不安の残る結果となった。
そんなM8 GTEに対してIMSAは調整を緩和する方向で性能調整を実施。最低車重を1250kgから10kg減の1240kgとしたほか、ブーストレシオもエンジン回転数のほぼ全域にわたって上昇させている。
4チームの計7台が0.5秒以内に収まったBMW以外の4メーカーに対しては、燃料タンクと給油リグリストリクター径以外の変更はなされていない。
GTデイトナ(GTD)クラスは、テストでクラストップタイムをマークしたランボルギーニ・ウラカンGT3のエアリストリクター径がφ38.0mm×2からφ37.0mm×2に縮小されるとともに、兄弟車でテストではクラス4番手につけたアウディR8 LMSのエアリストリクター径もφ39.0mm×2からφ38.0mm×2となった。また、GTDクラス5番手に入ったアキュラNSX GT3の最低重量はテスト時から10kg増の1310kgとなっている。
数値の変更で性能面の恩恵を受けることになるのはBMW M6 GT3とメルセデスAMG GT3の2車種で、M6 GT3はブーストレシオ最大値の緩和、AMG GT3は最低重量を1390kgから1375kgに減らす調整が行われている。
いよいよ開幕を迎えるIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ2018年シーズン。開幕戦にしてシーズンのハイライトでもあるデイトナ24時間は今季、アキュラ・チーム・ペンスキーなどの新規参戦チームのほか、フェルナンド・アロンソを擁するユナイテッド・オートスポーツや、WEC世界耐久選手権の“強豪”ジャッキー・チェン・DCレーシング・JOTAといったスポット参戦組も多数出場することで例年以上に注目が集まっている。
そんなデイトナのレーススケジュールは25日(木)に計3回のフリープラクティスと公式予選、26日(金)に4回目のプラクティスが行われ、27日(土)14時40分(日本時間28日04時40分)に24時間レースがスタートが切られる予定だ。