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中居正広と舞祭組、親子のような師弟関係 ラジオで語られた1stアルバム制作裏話

2018年01月24日 10:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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「すごく頑張ったと思いますよ」。


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 1月20日放送の『中居正広 ON & ON AIR』(ニッポン放送)で、中居が“ちょいお手伝い”をしたという、舞祭組の1stアルバム『舞祭組の、わっ!』の制作裏話が披露された。


 Kis-My-Ft2の「後列4人」と呼ばれていた千賀健永、宮田俊哉、横尾渉、二階堂高嗣に光を当てるべく、派生ユニット“舞祭組”を作り、中居自らプロデュースをかって出たのが、2013年のこと。以来、MCを務める番組に彼らを呼び、トークや歌について叱咤激励を繰り返しながら歩んできた。前回の放送では「コーラスを僕入れたんですよ。舞祭組みんなヘタくそだから、コーラス入れてやんないと、歌が成り立たないんじゃないかなっ、と」と、相変わらずな天邪鬼ぶりを発揮していた中居だが、今回は真正面から彼らの努力を称賛した。中居と舞祭組、彼らの間にある、親子にも似た師弟関係が胸を打つ。


 中居は、徹底した仕事人間だ。今回、舞祭組の1stアルバムを制作するにあたって、予め12曲を選出し、メンバーの歌割りやPVのイメージも持参して会議に参加したという。だが、それを決して押し付けることはしない。「自分たちでやってもいいし、これ(中居選曲)でもいいし。やりたいようにやったほうがいい」と、選ばせる。そして、困ったときには“いつでも頼れ”と、いい距離で見守る。その行動は、まさに理想的な親ではないだろうか。


 思えば、舞祭組が生まれたとき、4人はヨチヨチ歩きだった。念願のデビューというスタートラインに立ったものの、思い通りにならない歯がゆさ。それは、私たち一般人も社会に出たとき、多くの人が感じるものに近いかもしれない。ときに、会社組織におけるマネジメントは子育てに例えられる。母親から生まれた時に人間へと育てられ、社会に出た時に社会人へと育てられる。彼らがスーツ姿で歌っていたのも、アイドルである以前に、社会人として成長していく姿を見せていきたい、そんな思いがあったのかもしれない。


 中居が手を差し伸べたとき、すがるように付いていった舞祭組が今回「自分たちでやりたい」と応えたのは、本当に大きな成長だ。だからこそ「よく頑張った」と、中居は喜んで褒めたのだろう。ラジオでは、二階堂や千賀が熱心に中居のもとを訪ねて、アドバイスを受けていたこと。その熱意に「必ずしも俺が言ってることが正しいわけではないから」と言いながら、出来る限り応えてきたことも語られる。


 「コーラスの歌だけ、僕が選んだ12曲の中の1曲だったのね。その曲だけ、やりたいと。あーいいよ、全然いいよって」。その1曲である「Fire&Lightning」は、かつてSMAPの「Battery」や「シャレオツ」などを手掛けたJeff Miyaharaによるもの。これまでジャニーズアイドルらしからぬ楽曲を歌ってきた舞祭組が、この楽曲を歌うことには特別な思いがある。今の彼らなら本当にカッコよく歌えるはず、と見込んでの選曲だったのだろう。


 中居もコーラスに入り、舞祭組のホールコンサートでは、映像でダンスシーンも披露した。昨年「1ステップも踏まなかった」という中居が、久しぶりのダンスや歌に苦戦した話も、「やべぇ」と言いながらどこか楽しそうだ。それは、まるで野球好きな父親が、久しぶりに子どもたちとキャッチボールをしたけれど、昔のような球速が出ずに、悔しがっているかのような微笑ましさ。


 また、「聞かれれば、お話しますけど」と、中居扮する舞祭組ファンのキャラクター“スルメさん”の名前の由来についても明かされた。大相撲の土俵の下に、安全を祈って埋められるスルメから取ったというものだった。「怪我のないように、安全に、滞りなくって、意味があるんだと思って」。それは、“本当の優しさは、わかりやすく見える形じゃなくていい”そんなシャイゆえに、天邪鬼な態度を取ってしまう中居の親心そのものだ。


 しかし、ようやく自分の足で歩き始めた舞祭組も、まだまだ成長途中。全国キャンペーンを行なった際、1,000人規模の会場で280人しか入らなかったというトホホ話も飛び出す。だが、その話も「さすがですよね、舞祭組って(笑)」と、まるで手のかかる子どもたちを見つめるように愛しそうに話す中居。そして「俺らもあったけど。1万人のところに1,000人ぐらいだったかな。そんなの俺らぐらいだと思ってたけどね」と、かつてSMAPとして乗り越えてきた壁を重ねてみせた。


 中居の行動にはすべて意味があり、意思を貫く人だ。思いつきで思い出話をしているのではないだろう。舞祭組を育てることで、自身のキャリアの棚卸しをしているのかもしれない。プロデューサー中居の先に広がる風景がもう見えているのだろうか。プレーヤー中居として、新たなステップを踏む姿も期待してしまう。


(文=佐藤結衣)