飲食店での受動喫煙への悩みは、客だけでなく授業員も持っているようだ。流通サービス業などが加盟する産業別労働組合のUAゼンセンによると、ファミレスや居酒屋などの飲食店で働く63%が、客からの受動喫煙を経験したことがあるという。
UAゼンセンは外食産業で働く3000人を対象に受動喫煙に関する調査を行い、2076人から回答を得た。回答者の職場は「ファミレス」(49%)が最も多く、「居酒屋」(19%)、「ファーストフード」(18%)、「その他」(14%)となっている。
店によっては従業員の過半数が未成年のアルバイト 受動喫煙に晒していいのか
厚労省は昨年3月、東京オリンピックに向けた受動喫煙の防止策として、30平方メートル以下のバーやスナックの例外を除き、飲食店は全面禁煙とする健康増進法改正案をまとめた。しかしその後、自民党議員らの強い反発で調整が難航。11月には、厚労省が例外の広さを150平方メートル以下にまで広げるという報道も出た。受動喫煙防止に積極的な議員などから「骨抜きだ」と批判も出ている。
調査では、飲食店の従業員がこうした現状をどう思っているのか聞いた。厚労省が間仕切りの設置などによる空間分煙を禁止し、屋内を禁煙にしようとしている事については、69%が賛成と答えた。しかし、小型店や個人店、小規模事業者等を規制対象から外すことについては「例外なく対象とすべき」という回答も69%に上っている。
UAゼンセンは1月19日、食事を提供する場の原則全面禁煙と、空間分煙の禁止、更なる情報提供と普及啓蒙活動を求める要請書を厚労省に提出した。UAゼンセンの担当者はキャリコネニュースの取材に対し、
「飲食店の現場には、場所によっては従業員の過半数が未成年のアルバイトで占められているケースもある。こうした人達の受動喫煙を防ぐのも大切だ」
と答えた。
12月8日の東京都議会で都が行った答弁によると、仮に厚労省が150平方メートル以下の屋内喫煙を認めた場合、都内の一般飲食店の9割が該当することになり、実質的にはほとんどの店で喫煙が可能な状態になるという。こうした面積規制についても担当者は「150平方メートル以下は除外する、といった規制は設けず、また、小規模店、個人経営店などの例外も作らず、受動喫煙の対策をしてほしい」と語っていた。