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他人の宿泊予約権利を購入できる「Cansell」を使ってみた 新宿のシティホテルに1泊朝食付2,000円で宿泊できた!【レポート】

2018年01月22日 14:32  TRAICY

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2016年9月よりサービスを開始した、宿泊予約権利の販売・購入サービス「Cansell(キャンセル)」。

出品者は泊まることができなくなった宿泊予約をCansellに予約料金より安い料金で出品し、購入者は希望の宿泊予約を購入できる。名義変更はCansellが行い、変更できた場合に予約が完了する。取り消し料金がかかる割安な予約や、直前になって行けなくなってしまった予約が主に販売されている。ベータ版として価格交渉ができる機能も追加している。

例えば現在出品されている1月の予約を見てみると、予約料金から50%オフの宿泊予約が出品されており、平均すると予約料金より大体30%程度が割引となっている。直前の予約もあるが、1ヶ月から2ヶ月先の予約も出品されている。特に連休絡みが多く、12月にはクリスマスを挟んだ予約の出品が多くみられた。ビジネスホテルよりシティホテルやラグジュアリークラスのホテルの出品が多く、1万円台後半から3万円台程度の予約がボリュームゾーンのようだ。Cansellは成約すれば15%の手数料を出品者側から徴収するという。

掲載数は決して多いとはいえず、地方都市は全くもしくはほとんどないに等しい。一方で東京や大阪といった大都市ホテルのは常に複数掲載されているものの、希望日程に合わせて予約できるとは限らない。宿泊日などをみると休日の複数人予約が多いことから、早い段階で予約をしてしまったものの行けなくなった観光客からの出品が多いことが推測できる。

2017年3月からは、パッケージツアーに含まれる宿泊予約の販売にも対応を始めた。チェックイン日まで残り20日以内の日本国内の宿泊権利が販売の対象となり、パッケージツアーの元の金額と宿泊権利の希望販売価格を通常のフォームに追加して入力すると、Cansellが予約内容の確認や希望販売価格が宿泊施設の市場価格より低いこと、予約者の名義変更が可能であるかを確認をした後、掲載を行う。飛行機と宿泊をセットで購入した場合、往復航空券を航空会社から購入するよりも、パッケージツアーを購入したほうがクーポンを利用できるなどの理由で安いこともある。その際には最低1泊はホテルの予約が必要となるため、最初から宿泊を放棄する人もいると聞く。放棄するはずだった宿泊権利をCansell上で販売することで、出品者はパッケージツアー代金の節約、宿泊者は市場価格より低い金額で泊まることができるようになる。

筆者も1月3日から6日まで、東京都内のホテルの予約の権利を実際に購入し、実際に宿泊してみた。

購入したのは、東京・新宿の「ホテルV(仮名)」。歌舞伎町に近く、新宿駅から徒歩数分の好立地だ。12月中旬、そんな「ホテルV」のスタンダードダブル3泊の宿泊予約が6件も、突如Cansellに出品された。

出品当初は3泊で数千円程度だったものの、その後引き上げられ、直前になると手仕舞いのため割安に戻った。結局、筆者は3泊朝食付きで6,000円で予約ができた。公開されている取引履歴を見ると、購入された価格は5,000円で1件、6,000円で3件、8,000円で1件、9,500円で1件だった。いずれも出品者は25,480円で予約をしており、購入者は最大80%オフで購入できたことになる。5,000円で購入できた人は1泊あたり約1,667円で、いかに割安であるかわかるだろう。筆者の場合、新宿と自宅の往復交通費よりも安上がりになる。

宿泊当日に「ホテルV」の公式サイトで宿泊料金を確認したところ、同一の部屋タイプは3泊で21,300円で予約ができる状態だった。Cansellではあくまで出品者が購入した金額からの割引率が計算されているため、ホテル側が出品者の購入価格よりも値下げした場合は、Cansell側に表示される割引率よりも低くなる。もちろんホテル側が宿泊料金を値上げした場合は割引率は高くなる。

ホテルが当日に販売している料金から考えると今回の予約は最大76.5%割引となり、激安であることには変わりないが、10%から20%程度の差しかない場合、旅行予約サイトで高率なポイント還元やクーポン利用での割引がある場合には、ポイント還元などを考慮した実勢価格は旅行予約サイトのほうが安くなる可能性もあるので、利用する際には実勢価格もチェックしたほうが良いだろう。また、Wi-Fiや朝食が無料になるといったホテルの上級会員の特典も、直接予約ではないため受けることができない可能性もあり、その点も考慮する必要がある。

宿泊当日はホテルのフロントで名前を伝えるとチェックインができた。Cansellが予約名義を出品者から購入者(筆者)にきちんと変更しているため、手間取ることはなかった。

宿泊台帳に住所や名前を記入していると、予約サイトの欄は大手外資系オンライン旅行代理店Eと書かれていた。後日Eの予約ページを見ると、連泊プランはなくキャンセル不可のプランが最安だった。国内のオンライン旅行代理店では連泊プランの設定もあり、キャンセルが前々日まで無料だった。出品者ももう少し比較検討をしていれば”たたき売り”をする必要がなかったわけで、権利の転売よりも賢く選ぶべきだったと思う。実は筆者は当初、ホテル側が自ら販売しているのではないかと疑問を抱いていた。正月明けの東京都心のホテルでは予約状況が芳しくないという話を多く聞いていたことや、明らかに多くの部屋が一度に販売されたからである。どうやら宿泊台帳を見る限りでは違ったようだ。

Cansellには「安いから泊まる」という筆者のような人(実はCansellを使って都内に泊まったのは2回目だ)もいるし、購入者と価格交渉をすることができるため、わずかに安い競合ホテルに客を取られずに済むことから、ホテルが自ら出品するといった機能も増えるかもしれない。部屋を埋めたいが故に公式サイトや大手オンライン旅行代理店で格安で販売すればブランドが毀損するリスクもあり、すでに高い金額で予約済みの人は良い気がしないだろう。ホテル側は購入希望者の属性だったり、他ホテルの会員ステータスなどを見た上で予約を受けるか決めることもできるはずで、今後の発展にも期待したいところだ。

筆者はおよそ年間50泊から60泊ほどホテルに泊まるが、出品数が限られているCansellのみで賄える気はせず、一部のチェーンホテルでは直接予約で特典を受けることができるので、利用するシーンは限られるだろう。一方で、特典なんてどうでもいいくらい”爆安”での出品やこだわりのない人にとっては、思わぬ掘り出し物に出会うチャンスもある。ぜひ一度Cansellを覗いてみてはいかがだろうか。