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『99.9』第2話で早くもシリーズの核心に ネットを騒がせた疑問の行方は?

2018年01月22日 13:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 26年前に飲食店を経営していた深山大翔(松本潤)の父親・大介(首藤康之)は、大雨の夜に知り合いの女子高生を駅からコンビニまで送り届けた。しかし翌日彼女は遺体となって発見され、大介は現場に落ちていた傘を証拠品に、犯人として断定された。無実を訴えながらも実刑判決を受けた彼は、控訴中に獄中死した。


 シーズン1で登場したこのエピソードは、深山が法曹界を志したルーツや、斑目法律事務所の所長・斑目春彦(岸部一徳)と深山を繋げた理由を明らかにしたものの、事件の具体的な真相は明らかにされなかったのである。とはいえ、当時の担当検事だった大友修一(奥田瑛二)が担当していた別の事件の冤罪を暴き出したことで、深山の父親の事件にも無罪なのではという兆しが見え始めたのである。


 TBS系列日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』は第2話にして、早くもこのシリーズの核心に触れる。深山の父親の事件現場に落ちていたという見知らぬ遺留品を受け取った深山は、刑事事件チームの面々とともに26年前の事件を洗い始める。


 その調査に協力するのは青木崇高が演じる検察官の丸川。シーズン1で深山たちとやりあった東京地検の検察官だった彼が金沢地検に赴任しており、当時の資料を調査する上で非常に役に立つのである。そして例によって事件の重要な証拠と証言をもみ消していたのは、深山にとって因縁の敵である大友だったとわかる。


 検察が築き上げたシナリオ、劇中では“レール”として表現されるものから外れてしまう証拠を大友は排除していたのである。事件の真実に口をつぐみ続けた警察官の回想で登場した「最後に裁くのは裁判官」という前シーズンでも大友が語った言葉と、ラストで斑目が深山に語りかける「我々が戦う相手は闇が深い」の言葉。


 今回のエピソードで深山の父の事件は解決を迎え、裁判官との戦いがいよいよ幕を開けることだろう。しかし回想シーンで登場する、深山の父に判決を言い渡した裁判官。これはもしかすると、前回のクライマックスで登場した川上裁判官(笑福亭鶴瓶)ではないだろうか。そうであれば、まだこの事件は尾を引いていくということだ。


 ところで第1話の放送後、ネット上を騒がせた「なぜ真犯人が罪を犯した理由が描かれないのか」という疑問。今回の第2話でも、非常に重要な事件の真相を抱えたまま、真犯人の男が命を落としていたと語られるだけで、一切姿を現さない。そこには今回のシーズンの、むしろこのドラマの最も大きなテーマを感じることができる。それは深山自身が語る「事実を知りたかっただけ」ということだ。


 事実の裏にあるドラマ性ではなく、あくまで主人公たち弁護士と依頼人の視点から見てわかる「誰が罪を犯したか」「依頼には罪を犯したのか否か」ということに焦点が当てられる。真犯人の動機というものは、真犯人当人の心の中にあるものであり、検察が事件を立証するための証拠として存在するものに過ぎない。事実という表層の先にある“何故”という内面は、弁護士と無実の被疑者にとっては遠いものなのかもしれない。


 同じように、今回のエピソードで26年越しに事件の真相が明らかなことで表れてくる「赦し」の存在。事件の被害者の仏壇に手を合わせる深山と、被害者の妹から告げられる「ごめんなさい」の一言。加害者の家族が、深山自身が味わってきた“犯罪者の家族”としての人生から解き放たれることで、本作は次のステップにようやく進むことができるのだろう。(久保田和馬)