青森市の「ボランティアポイント制度」が物議を醸している。昨年10月に始まり、ボランティア1回につき100円分のポイントがもらえる。貯まったポイントに応じて、商品券や市営バスのカードに交換できる。
ボランティアメニューの中には、「雪かき」「屋根の雪下ろし」も含まれており、1月中旬に報じられて以降、「タダ働きだ」などの批判が出ている。
「ポイントはご褒美ではない」「労働とは捉えていない」と市の担当者ら
高齢者のコミュニティ形成を目的とした茶話会の運営や、認知症高齢者と家族の交流活動の運営補助など、3分野12項目がボランティアポイントの加算対象で、12月末時点で約2000人が登録している。
市の福祉政策課の担当者は同制度について「元気な高齢者の介護予防と、若い人が町内会などに参加して地域の担い手になってくれることを目標とした」と言う
このうち、雪に関するものは、ひとり暮らし高齢者世帯の除雪や、積雪が1メートルを超えた場合に実施する屋根の雪下ろし奉仕活動など5種類。12月下旬や1月中旬に、産経ニュースや毎日新聞がこの制度を取り上げると、「これがっつり労働じゃないの」「時給100円で雪かきさせるってどうかしてる」「若者を安く使おうとしている」など、批判的な意見が噴出した。
市の関係者らはこうした意見に対し、
「このボランティア参加をきっかけに、地域福祉の担い手になって欲しいと思って作っていて、労働とは捉えていない。そういったことは考えたこともなかった」(ボランティアセンター担当者)
「制度で設けた100円分のポイントは、ご褒美という意味ではなく、これをきっかけに自然と体がボランティアに向くようになってほしいという思いを込めている」(市の担当者)
と否定した。雪かきや雪下ろしを行うのは朝の時間帯のため、仕事がある若い人たちの活動は難しく、「実際に動いているのは定年後で時間がある人や、元気な高齢者」(ボランティアセンター担当者)。若い人はほとんどいないという。
雪かきや雪下ろしが難しく頼める人もお金もない高齢者を救うには、現状ではボランティアと町内会に頼るしかない
雪かきや雪下ろしのボランティアは、市内に住む一人暮らしの高齢者のうち、市民税が非課税だったり所得が低かったり、近隣に親族が住んでいないなどの条件に当てはまった場合のみ要請可能だ。どんな世帯でもお願いできる訳ではない。
ボランティアセンターによると、屋根の雪下ろしは1シーズンで2回から3回行われるという。雪の量や家の面積、作業時間などにもよるが、全て人で行うとなると、1回あたり3万円ほど費用がかかる。青森市は雪下ろしの費用を助成する制度を設けているが、1シーズンの上限が2万5000円と、制度を使っても低所得世帯の負担は大きい。現状では、町内会やボランティアに頼らざるを得ないという。
とはいえ、ポイント付与対象の他の仕事と雪かき等を比べると、身体的な負担に差があるのは確か。市の担当者は「ボランティア参加者から要望があれば、活動内容に応じてポイント数を増やすなどの工夫も検討するかもしれない」と話していた。