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亀梨和也の色気漂う演技に悶絶 『FINAL CUT』第2話で描かれた“情報の種類”とは?

2018年01月17日 16:52  リアルサウンド

リアルサウンド

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「みんながそう思えば、それは真実になるの」。


 1月16日に放送された『FINAL CUT』(カンテレ・フジテレビ系)の第2話「消された目撃証言」。物語は、中村慶介(亀梨和也)が運営するメディア被害に関する通報サイト『MP.info.net』に、『ザ・プレミアワイド』のディレクター・真崎久美子(水野美紀)についての相談が寄せられることから始まる。彼女に裏切られた過去を持つ慶介は、次なるターゲットとして真崎への制裁を決意。かつて、真崎は「私、早川さんの無実、信じてます」と言葉巧みに慶介の母・恭子(裕木奈江)に近づき、インタビューを行っていたのである。


参考:亀梨和也主演ドラマ『FINAL CUT』はただの復讐劇ではない 第1話で描かれた“情報への疑念”


 第2話では、“見たいニュース”と“真実”がテーマになっていたように思う。今回のターゲットである真崎は、何よりも「視聴者を感情移入させること」に重きを置くフリーのディレクター。特に「見ている人がつい、イライラする。カッとなる。これについてもっと知りたいと思う」ような“怒り”の感情を刺激するスクープを狙っていた。そして、上に行くためには、ギリギリなことをやらなくてはいけないと思っており、そのためなら「なんだってやってやるわよ」と宣言していたように、スクープのためなら手段を選ばない。そう、たとえ“嘘”の情報だと知っていても、“真実”として報道するのだ。


 そんな彼女に慶介は、公開されると人生が終わる映像“ファイナルカット”として、“真実”を突きつける。そこには、指名手配中の犯人に対してお金を渡してまで取材をする真崎の姿が収められていた。「何よこれ! こんなの勝手に撮って。犯罪よ! わかってやってんの?」と怒る彼女に対して、「よく言うよ。散々やってきたろ?」と冷たく言い放つ慶介。続けて、自分が、12年前に起きた“西新宿工場跡地保育園児殺人事件”で、『ザ・プレミアワイド』に疑惑の女園長と報じられた恭子の息子であることを明かす。


 慶介は、当時を振り返り、恭子が最後の望みを真崎に託すも、その想いを粉々にされたことで、絶望のどん底に突き落とされたことを語る。そして「あの時、母さんは訴えた。“真犯人は別にいる。”取材したのに、なんで放送しなかった?」と左頬に涙を伝えながら、真崎に詰め寄った。その質問に対する真崎の答えは、「あの時は、みんな、早川恭子を疑ってた」「みんながそう思えば、それは真実になるの」。この言葉は、真崎が“真実”を伝える気がないディレクターであることを明白にしていた。さらに、慶介が自ら正体を名乗るまで、彼のことを全く覚えていないという点からもまた、彼女の無責任さを感じざるを得ない。


 加害者は、自分が何をしたのかも、被害者が誰だったのかも、ましてやその過去すら覚えていないことがほとんどだ。加えて、メディアともなれば、毎日掃いて捨てるほどのニュースを取り扱っているのだから、自分たちの報道で、一人とその家族の人生を大きく狂わせていたとしても、罪悪感を抱くどころか覚えてすらいない。(公式サイトにて公開されているチェインストーリーを見る限り、真崎は事件自体と恭子が証言していた真犯人“若い男”のことは覚えているようだ)


 そして、メディアが報じた“嘘”も、世間が何も疑わず鵜呑みにすれば、それが“真実”にすり替わってしまうのである。そして、そういうニュースに対して、視聴者が盛り上がりを見せるほど、メディア側もどんどん加速していく。“知る価値のある”ニュースよりも、誇張された“人が見たい”と思うニュースが溢れかえり、偽りの“真実”が生み出され続けていくのである。


 『ザ・プレミアワイド』の司会者である百々瀬塁(藤木直人)は言っていた。「情報には二種類ある。知る価値のあるものと、人が見たいもの。僕たちは、ガガーリン(人が見たいもの)を提供し続ければいい。ただし、真実だけを」と。この“人が見たいもの”と“真実”は一体何を指すのだろうか。そして百々瀬は、真崎に1枚の紙で作られたバラをプレゼントしていたが、それはまるで“ただの紙(出来事/嘘)でも、手の加え方によってはバラの花(価値があるニュース/真実)になる”ということを示しているようでもあった。


 余談だが、慶介が真崎に今回の指名手配犯へのインタビューを諦めろと促すシーンで、「スクープをモノにするのと……」と言い、唇をペロッと舐め、口許をニヤッとさせながら「あんた自身がスクープになるのと、どっちがいい?」と尋ねる仕草に、悶絶した視聴者は少なくないはずだ。ほかにも、上目遣いで真崎に「忘れちゃった?」と聞いたり、騒ぐ真崎に向かって、自分の唇に指を押し当てながら「シーッ」と促す姿など、彼の一挙手一投足は実に色っぽい。“復讐劇”だけでなく、彼の仕草や小河原姉妹との三角関係からも目が離せない。(文=戸塚安友奈)