F1iのテクニカルエキスパート、ニコラ・カルパンチエが2018年のF1シーズンの注目ポイントを全4回に分けて紹介していく連載企画。
----------------------------------------------
2017年シーズン、メルセデス、フェラーリ、レッドブルのいわゆるトップ3チームのうち、キミ・ライコネンを除く5人のドライバーが少なくとも1レース以上を制した。
とはいえレッドブルのふたりはマックス・フェルスタッペン2勝、ダニエル・リカルド1勝に留まっており、ルノー製パワーユニットがよほどの進化を遂げない限り、彼らが2018年のタイトル争いに絡む可能性は低そうだ。
となると今季もメルセデスとフェラーリの一騎打ちの様相を呈するだろう。技術レギュレーションが去年ほど大きく変わらないのは、確かにフェラーリには助けとなる。メルセデスとのパフォーマンス差を、より縮めることができるからだ。
ただしフェラーリの躍進には、ふたつの条件が不可欠である。まず昨年のような信頼性の問題を起こさないこと。そして際どい争いが続く局面で、セバスチャン・ベッテルが冷静さを失わないことである。
一方でメルセデスは、たとえ技術レギュレーションが固定化されても、パフォーマンスの伸び代はまだ十分にあると自信を見せている。もしそれを成し遂げることができれば、昨年以上の強さでフェラーリを圧倒してしまうかもしれない。
それだけメルセデスF1の技術力、中でもパワーユニット関連が傑出しているわけだが、となるとルイス・ハミルトンのライバルはむしろチームメイトのバルテリ・ボッタスと考えるべきなのだろうか。
確かにトップチームのメルセデスにいきなり移籍したにもかかわらず、去年のボッタスはそのプレッシャーを跳ねのけて、十分な速さを発揮した。しかしハミルトンとタイトルを争うほどの逸材かと言えば、自信を持って肯定はできない。それはデータ上からも、明らかである。
昨年のボッタスは予選において、平均コンマ254秒遅かった。一方、ニコ・ロズベルグもハミルトンにかなわなかったとはいえ、4年間の平均でコンマ070秒差しかなかったのである。そして決勝レースでのハミルトンに対するボッタスの劣勢については、改めて数字を挙げるまでもないだろう。