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リトグリ、NEWS、Da-iCE、AL、WANIMA……個性豊かなボーカリストの魅力が詰まった新作

2018年01月16日 08:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 EDM、エレクトロの流行が落ち着いて早数年、J-POPシーンにも“歌の良さ”に再びスポットが当たろうとしてる。そこで今回は、メンバーのボーカル、コーラス、ハーモニーが堪能できる新作を紹介。リトグリ、NEWS、ALなど、異なる個性を持ったボーカリストたちの共演をたっぷりと楽しんでほしい。


(関連:Little Glee Monsterが語る、紅白出場の喜びと3rdアルバムでの“音楽的挑戦”


 初の日本武道館公演、Earth,Wind&Fire、アリアナ・グランデのオープニングアクト、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)の出場など大躍進の2017年を経て届けられた、Little Glee Monsterの待望の3rdアルバム『juice』。「だから、ひとりじゃない」(TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』エンディングテーマ)、「Jupiter」(TBS日曜劇場『陸王』劇中歌)などの大型タイアップ曲が満載の本作から感じられるのは、“全員がメインを張れる”“ハーモニーのなかでもメンバーそれぞれの個性が伝わる”ーーつまり、どの楽曲も“全員が主役”という雰囲気があるリトグリの特徴がさらに前景化されていること。歌割り、コーラスアレンジも冴えわたり、彼女たちの魅力がわかりやすく伝わる充実作に仕上がっている。


 結成15周年を迎えたNEWSの2018年第一弾シングル『LPS』は、ソウルミュージックのエッセンスを取り入れた大らかなサウンドと“Love”“Peace”“Smile”をテーマにしたメッセージ性の強い歌詞がひとつになったミディアムナンバー。歌い出しのフェイクは手越祐也(こういうフレーズで雰囲気を出すのがホントに上手い)。その後、小山慶一郎、加藤シゲアキ、増田貴久がそれぞれのキャラクターに合ったフレーズをつないでいく。全体に流れるのは“いいときばかりじゃないけど、笑顔と愛で歩んでいこう”という大きなテーマなのだが、ここまでのNEWSの変遷を踏まえながら聴くと、そこに確かな説得力が感じられる。メンバーの人となりと人生をクロスオーバーさせた佳曲だ。


 Da-iCE『TOKYO MERRY GO ROUND』の表題曲は、「らいおんハート」(SMAP)、「いけないボーダーライン」(ワルキューレ)など数多くのヒット曲を手がけてきたコモリタミノルのペンによる、ファンキー&ポップなアッパ―チューン。これまではクラブミュージック系の楽曲が多かったDa-iCEだが、ホーンセクションを大胆に取り入れるなどオーガニックな雰囲気を持ったこの曲は、彼らの新しい魅力を引き出すことになりそうだ。女性的なハイトーンボイスを持った花村想太、ハスキーかつソウルフルな歌声が特徴の大野雄大の絡みも素晴らしく、楽曲の良さをしっかりと引き出している。デビュー5周年イヤーのスタートにふさわしい、“らしさ”と“新しさ”をバランスよく表現した楽曲と言えるだろう。


 ALの2ndアルバム『NOW PLAYING』はタイトル通り、“いま鳴らしたい音”が素直に表現された作品だ。その中心を担っているのは言うまでもなく、小山田壮平(Vo/Gt)、長澤知之(Vo/Gt)による楽曲と歌。00年代のロックンロール・リバイバルをバックグランドに持つ小山田、そして、The Beatlesをルーツに持ち、ポップ&サイケデリックな作風を得意とする長澤。まったくタイプが違うミュージシャンでありながら、深いところでしっかりと結びついている二人が作り出す音楽は、本作においてさらに成熟の度合いを増している。個人的ベストトラックは、ふたつの声が重なりながら<君と手をつなぎたいだけなのさ>というフレーズを響かせる「地上の天国なソングライターの歌」。


 先行配信曲「ヒューマン」(ドラマ『刑事ゆがみ』主題歌)のヒットによって、バンドシーン以外の知名度を確実にアップさせたWANIMAのメジャー1stアルバム『Everybody!!』。新たなライブアンセムとして浸透しそうなアッパーチューン「OLE!!」、”不確かでもいい、進んでいこう”とリスナーを鼓舞するメッセージソング「シグナル」、彼らのルーツのひとつであるダンスホール・レゲエに独自の解釈を加えた「サブマリン」など、メロコアだけに留まらない幅広い音楽性を表現している。そして、もうひとつ注目してほしいのは、メンバー3人のコーラスワーク。このバンドのエモーショナルなメロディ、豊かなサウンドメイクは、彼らの卓越したボーカル力によって支えられているのだ。(森朋之)