PETRONAS(ペトロナス)は1月12日、千葉県・幕張メッセで開催中の『東京オートサロン2018』で新製品『PETRONAS Syntium 7000 0W-16(ペトロナス シンティアム7000 0W-16)』を発表した。
今回発表を行ったのはマレーシアの国営石油会社であるペトロナスの潤滑油製造・販売部門、ペトロナス・リブリカンツ・インターナショナル(PLI)。ペトロナスはF1のメルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツのスポンサーであると同時に、オイルサプライヤーとしてもおなじみだ。
近年のF1ではパワーユニットのパフォーマンスを活かすために専用のオイル開発が重要になっているが、そんななかでメルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツは昨シーズン、4年連続でチームタイトルを獲得している。2017年7月には契約更新により、同チームへのスポンサーシップがさらに3年間延長されることも発表された。
新製品ペトロナス シンティアム7000 0W-16は、この日が世界初のお披露目。その特長はペトロナス独自のテクノロジーCoolTech(熱最適化技術)が採用されていることだ。
CoolTechとはオイルの流速を高め、エンジン内部の過度な熱の吸収・放出性を向上させてエンジンパワーを最大限に引き出しつつエンジン内部の摩耗を減らすテクノロジー。エンジン温度を最適に保ち、ダメージを防ぎながらもそのエンジンの最高のパフォーマンス維持や燃費向上に貢献するのはもちろん、CO2削減といった環境面にも配慮する。
この開発技術はF1のメルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツとともに開発されたもので、実際のレースでも使われているオイルだという。
「2017年、F1でメルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツが4年連続チャンピオンを獲得した。より高速に、より耐久性を持ちより効率のいい走りを実現したのが我々の製品なのだ」と語るのはグループ・マネージング・ディレクター兼最高経営責任者(CEO)ジョゼッペ ディアリゴ氏。
ディアリゴCEOは「最近は自動車エンジンが小型化が進んでいるので、そういった側面からも(レース車両と一般車には)整合性がある。エンジン保護や燃費、CO2削減といったニーズすべてに対応しているのは我々の製品だけだと考えている」と言う。
とはいえレース車両と一般公道を走る自動車では同じ四輪とはいえ別物。F1で培われた技術はどのような形で一般車に反映されているのか。この疑問に答えてくれたのが技術責任者であるエリック・ホルトゥーゼン氏。F1でのサポートも行っている人物だ。
ホルトゥーゼン氏は「(レース車両と)公道を走る一般車とは、目指すところは変わらない」と言う。
「(レース車両も一般車も)どちらも効率を高めることが目標だ。その高めた効率を、レース車両の場合にはスピードを出すために使う。一方、一般車の場合は燃費を上げるために効率のよさを活かす。この点が違うだけだ」
「確かにペトロナス シンティアム7000 0W-16はF1のレースでテストをしたものだが、公道を走る一般車のエンジンで燃費を上げるという点で貢献できると考えている」
PLIは2018年をイヤー・オブ・テクノロジーと位置付け、技術革新における重要な年だとしている。ディアリゴCEOは「日本は世界で最も重要な潤滑油の市場であり、先端技術の発信元となる。そういう意味でこのイヤー・オブ・テクノロジーを日本から立ち上げることは至極自然なことだ」と語る。
2018年3月には開発投資を倍増させ、イタリア・トリノに6000万ドルのグローバルR&D(研究開発)センターを開設予定だという。
「我々のソリューションはレースのみならず、一般公道でも発揮されるし、どのようなパワートレインにも対応している。内燃エンジンはもちろん、ハイブリッドや電気自動車、燃料電池を使ったパワートレインにも対応していく」
「今後、モビリティ社会のなかでどのように進んでいくのか、お客様とともに研究開発を行っていきたいと考えている。そして、イヤー・オブ・テクノロジーの1年間、様々なニュースと製品を届けたい」
ディアリゴCEOの言葉どおり、ペトロナス シンティアム7000 0W-16は世界に先駆け日本国内で販売が開始された。