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【特集】チーム関係者が語るF1世界チャンピオン(3):あらゆる分野の頂点を追い求めるアロンソの熱意

2018年01月12日 12:02  AUTOSPORT web

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デイトナ24時間にも参戦するフェルナンド・アロンソ
F1チームで重要な役割を果たしている関係者たちがそれぞれの視点から現役世界チャンピオン4人について語るF1i.comの連載企画。第3弾はマクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエが2度の世界王者に輝いたフェルナンド・アロンソについて語った。 

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「フェルナンドが他のドライバーと決定的に違うのは、誰よりも速く走りたいという強い気持ちだ」
 それは単にF1だけに限らないと、エリック・ブーリエは言う。

「芝刈り機のエンジンの付いたゴーカートでさえ、フェルナンドは1位にならなければ気が済まない。遊びでテニスに興じても、200%の力でプレイする。F1の週末と、同じくらいの熱心さでね。これが僕が今まで直接知る他のF1ドライバーたちと、フェルナンドとの一番の違いだ。彼が本当に興味があるのは、何であれ頂点に立つことなんだ」

「しかしその気持ちがあまりに強過ぎるために、周囲の人間にはなかなか理解されない。ともすればフェルナンドは、難しい性格だと見なされがちだ。しかし実際には、決してそんなことはない。彼がいかに負けず嫌いで、勝ちたいという気持ちが強いのかを知れば、十分に受け入れられるレベルだよ」

「フェルナンドはコースインした1周目から、マシンの性格を見極め、性能を出し切ることができる。死角のないドライバーなんだ。予選一発に限れば、おそらくルイス(ハミルトン)の方がコンマ1秒速いだろう。しかしフェルナンドはあらゆる領域で、まんべんなく優れている」

「エンジニアへのフィードバック、スタッフのやる気を奮い立たせる力、戦闘力のないマシンでも彼なら必ず何かを成し遂げてくれるという期待、そしてほとんどミスを犯さない。フェルナンドがどれほどかけがえのないドライバーか、どれだけ言っても足りないくらいだ」

「その中でも特に強調したいのは、ミスの少なさだね。予選アタックでもレース本番でも、ミスを犯すことはほとんどない。去年のように中団以下に埋もれながらレースをスタートしても、動物的な危機回避能力でダメージを負わずに1コーナーを抜けて行く。フェルナンドほどのドライバーを、私は今まで見たことがないね」