2010年に北海道で開催されて以来、開催が遠のいていたWRC(世界ラリー選手権)の日本ラウンド。そのWRC日本開催へ向けての新たな動きが東京オートサロン2018のプレスカンファレンスで発表された。
千葉県の幕張メッセで開催されているカスタムカーの祭典、東京オートサロン2018の開催初日となる1月12日、WRCの新たな日本開催に向けての活動を行う『WRC世界ラリー選手権日本ラウンド招致準備委員会』の発足が発表され、来年、2019年の開催を目指すことが公となった。
日本でのWRC初開催は2004年、北海道の帯広市を中心に開催された。初年度は大きな成功を収めることができたが、その後、リーマンショックの影響、2008年の富士重工業(現SUBARU)のWRCワークス活動撤退もあり、国内でのWRC開催は2010年に幕を閉じた。
しかし昨年、トヨタがWRCのワークス活動を再開、国内でもJRC(全日本ラリー選手権)の新城ラリーが5万人以上の観客を集めるなど、大きなイベントとして発展。WRCを再び日本で開催する機運が大いに高まってきているタイミングでの、招致委員会の発足となった。
東京オートサロン2018のプレスカンファレンスで登壇した招致委員会の高橋浩司氏は「WRC日本ラウンドの開催を2019年秋に実現させるため、WRC世界ラリー選手権日本ラウンド招致委員会を立ち上げることになりました」とコメント。
なお、気になる大会名称については、「正式に決定していない点も多く、関係各所と競技を進めております。決定次第、順次ご案内させていただきます」としている。
以前は北海道で行われていたラリー・ジャパンだが、来年に予定されている開催地は中部地方になる見通し。中部地方では新城ラリーなどJRC全日本ラリー選手権の開催実績があり、地域自治体の理解も得られやすく、トヨタのお膝元ということなど条件が整っており、愛知県、そして隣接する岐阜県内を中心とした計画が進められているという。
実際、2005年の万国博覧会のメイン会場の跡地に整備された愛・地球博記念公園(モリコロパーク)が競技施設として使用することが検討されていることが述べられ、日本では初めてとなる公道を使用したターマック(舗装路面)での開催を目指していることも取材の中で明らかになった。
大会の主催団体はTOM’S代表としてもお馴染みの舘信秀氏が会長を務めるトヨタ・モータースポーツ・クラブ(TMSC)。
「TMSCはオーガナイザーとして2019年、日本で15年ぶりにWRCを開催するべく、来週には日本自動車連盟に申請手続きを行います」と語るのはTMSCの舘会長。
「世界ラリー選手権はF1やWEC世界耐久選手権などと同様に、世界各国を転戦する世界最高峰シリーズのひとつです。トヨタもWRCに復帰参戦をし、日本でも盛り上がりをみせています。日本でWRCを開催するに機が熟したと考えています」
「WRC日本開催を実現するべく、地元プロモーターとしてのイベント運営をお手伝い頂く株式会社サンズや関係各所と協力して、2019年に向けて活動を進めてまいります」
2019年の具体的な開催時期は、シーズン終盤に組み込まれる見通しで調整が進められているとのことで11月の開催を予定。仮に日本ラウンドがシーズン終盤戦の実施されることになれば、2008年のセバスチャン・ローブ以来となる、国内でのWRC年間チャンピオン決定の瞬間が見られる可能性も高まる。
今後の動きについては「11月に開催予定地域にてリハーサルイベントを実施した上で、12月頃にFIAの国際競技カレンダーへ掲載されることで正式な開催決定となる運びです。開催日程は2019年11月で申請いたします」と招致委員会の高橋氏。
WRCプロモーターのオリバー・シースラ氏や、自由民主党のモータースポーツ振興議員連盟会長であり、自動車文化を考える議員連盟会長の古屋圭司衆議院議員もそろってWRCの国内開催に向けて、ビデオレターという形で歓迎のコメントを残した。
TOYOTA GAZOO RacingのWRCワークス参戦によってテレビの地上波番組でも特集が組まれるなど、ふたたび熱を帯び始めている国内のラリー人気。この勢いを背に待望の日本ラウンド復活が実現するのか、今後の動きに注目したいところだ。