トップへ

石原さとみの白衣の下にも注目! 『逃げ恥』脚本家ドラマ『アンナチュラル』の見どころ徹底解剖

2018年01月12日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 石原さとみが主演を務めるTBS金曜ドラマ『アンナチュラル』が、1月12日22時からスタートする。警察や自治体から依頼された遺体を解剖する“不自然死究明研究所”、通称UDIラボで働く人々を描いた本作は、『逃げるは恥だが役に立つ』で話題を呼んだ脚本家・野木亜紀子が脚本を担当した法医学ミステリー。石原にとって、TBSの連続ドラマで主演を務めるのは今回が初となる。


参考:『アンナチュラル』場面写真


 石原演じる主人公の三澄ミコトの職業は、日本に170人ほどしか登録されていない“法医解剖医”。神倉保夫(松重豊)が所長を務めるUDIラボは、ミコト率いる三澄班と、中堂系(井浦新)が筆頭医を務める中堂班に分かれている。三澄班に所属するのは、ミコトと気の合う臨床検査技師・東海林夕子(市川実日子)と、バイトとして雇われた医大生で記録員の久部六郎(窪田正孝)。本作は、この5人が主体となって様々な死因を究明し、未来の誰かを救命する物語だ。


 社会派ラブコメディー『逃げるは恥だが役に立つ』で多くの視聴者を“ムズキュン”させた野木が今回手掛けたオリジナル脚本のテーマは、「死と向き合うことによって、現実世界を変えていく」と若干重め。『逃げ恥』と比べ、法医学といった一般人からかけ離れた世界を描いた本作だが、主軸となるのは野木の真骨頂とも言える人間ドラマだ。


 一見特殊な世界に身を置く5人も、プライベートではわれわれと同じような悩みを抱えており、恋や家族関係に苦悩し、時折暗い過去をにおわせる。死を身近に感じる職業である彼女たちが交わす言葉は、何気ないシーンのはずなのに、なぜか頭の中をグルグルと駆け巡っていく。


 聞きなれない法医学用語も飛び交うが、窪田演じる新人アルバイトの久部がもっとも視聴者に近い存在として描かれているため、決して置いてけぼりにされることはない。三流医大生の久部は、遺体を解剖するよりも人を治療する医者の方がいいとの考えを持つ人物。その考えに対してミコトは、法医学の意義が詰まった返答をする。久部とUDIラボの人々との間で繰り広げられる会話には、日常生活になじみのない法医学をグッと身近に感じる魅力が溢れている。


 また、本作で特に印象に残るのが“食事シーン”。ミコトが食事を取る場面が非常に多く、冒頭も食べ物のショットから始まる。人間の体を構築する食事は、大げさに言ってしまえば人生を紡ぐ糸のようなものだ。食事シーンといっても、いわゆる飯テロとして描かれているのではなく、呼吸をするのと同じくらい自然なトーンで撮影されている。その食べっぷりは共演者の井浦も絶賛しており、「さとみさんの食べ方も素晴らしい。リアルに生きるということが食べ方から伝わってくる」と制作発表会見で明かしている。


 ミコトたちの日常がごくナチュラルに表現されているのに対し、仕事である解剖や死因究明のシーンは非常にスタイリッシュ。まるでミュージックビデオのような疾走感のある映像で、アンナチュラル・デス(不自然な死)の謎を追求するUDIラボの仕事を描いている。“解剖”と聞くとグロテスクなイメージだが、全体的に過激な表現は抑えられており、あくまでも主体は“生きている人々”とする美しいビジュアルの法医学ドラマとなっている。


 石原が出演するドラマと言えば『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』や『5→9 ~私に恋したお坊さん~』などファッションも見どころの一つ。今回は白衣が主な衣装となるため、肝心なコーディネートは隠れてしまいそうだが、決して手は抜かれていない。重たくなりがちなロング丈の白衣にあわせて、中の服にはスタイルアップ効果が狙えるウエストを高めにしたものが選ばれている。


 また、手首、足首、首(デコルテ)の”3首”もポイント。この3点を出せば、男女ともに色っぽさが出るといわれているため、袖をまくったり、ネックレスで首元に輝きをプラスしたりするなど、細かなところにまでファッションテクニックが隠されている。視聴者の多くは白衣を着る機会はほとんどないであろうが、ロングコートが活躍する冬のスタイルの参考になってくれそうだ。


 さらに、石原は本作のために前髪をシースルーバングに変更している。プレミアム試写会の際にはヘアチェンジについて、髪を結んだ時にいつもと違う雰囲気を出すためだと明かしていた。髪型については、井浦も松重も役作りのために変更したそう。松重によれば、白髪交じりでドラマに出演するのは、本作が初となるそうだ。


 世界中で映画・ドラマ製作業界の男女格差が問題になっている中放送がスタートされるが、『アンナチュラル』はキャストもスタッフも女性を中心として製作されている。日本の女性クリエイターが、これだけ良質なものを手掛けられるのは誇るべきことだろう。『アンナチュラル』は華の金曜日を彩るご褒美的ドラマになるに違いない。(阿部桜子)