2017年限りで消滅したWTCC世界ツーリングカー選手権に、ボルボ・ワークスであるポールスター・シアン・レーシングから参戦していたネストール・ジロラミが、2018年シーズンに母国アルゼンチンの人気シリーズ、スーパーTC2000に復帰参戦すると発表した。
ジロラミはSTC2000でワークスチームとして活動する"チーム・プジョー・トタル・アルゼンティーナ"に加入。プジョー・スポールの一員としてふたたび408のステアリングを握ることとなった。
2017年のWTCCではボルボS60ポールスターTC1で1勝を挙げ、2度の表彰台を獲得。ドライバーズランキング9位に入ったジロラミは、それ以前にはプジョーとともに母国のツーリングカーで2014年、2015年とチャンピオンシップを連覇。それ以来のチーム復帰となる。
「プジョースポール・アルゼンティーナに復帰することができて、本当に幸せだ」と、喜びを語ったジロラミ。
「2016年のストックカー・ブラジル、2017年のWTCCと、この2年間は他の選手権で素晴らしい経験を積むことができた」
「その蓄積を糧にSTC2000に戻り、僕がこれまでのレースキャリアで最高の成績を収めた仲間たちとともに、ふたたび新たなタイトル獲得に向け挑戦する日が待ち遠しいよ」
このワークス・プジョーとして活動するチームでは、昨季から所属するマリアーノ・ウェルナー、ファビアン・シャナンツォーニ、マティアス・ムニョス・マルケージの3名が残留。28歳のジロラミを加えた4台体制でシリーズを戦うこととなる。
「疑いようもなく、このチャレンジはとても素晴らしいものになる。チャンピオンシップは依然としてハイレベルで、僕やチームにとって、変わらずハードワークと高い水準が求められると理解している」
そのジロラミより1歳上で、2017年のSTC2000新王者に輝いたルノー・スポールのファクンド・アルドゥソは、元王者のシリーズ復帰を歓迎しつつ、自身はDTMドイツ・ツーリングカー選手権や、WTCCと併合して生まれ変わったFIA WTCRワールド・ツーリングカー・カップへの進出にも興味を示している。
「アルゼンチンでレースをするのは本当に大好きだ。でもいつの日か、ヨーロッパのツーリングカー・シーンで自分の能力を試してみるのも悪くないと思っている。DTMがどんな雰囲気なのかはとても気になるし、新しいWTCRも面白そうだね」とアルドゥソ。
2017年は元王者のアグスティン・カナピノ(YPFシボレー/シボレーYPFクルーズ)やマティアス・ロッシ(TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ/トヨタ・カローラ)らを下し、最終戦までプジョーのウェルナーとタイトル争いを展開。そのライバルに対しても、予選ポールポジション獲得など精神戦でも優位に立ち、生まれ故郷のコルドバで見事な初タイトルを決めてみせた。
「もちろん、カナピノとロッシの(数字上の)可能性を摘み、レースを優位に運ぶ上でポールポジションは不可欠な要素だったけど、でもそれで安心したことはなかった。最終ラップでフィニッシュラインを越えて初めて、僕やチーム全員の努力、そして家族の辛い経験とサポートのことを思ったよ」とアルドゥソ。
このSTC2000王座を決めた地元コルドバ、オスカー・カバレンの同じトラックで、アルドゥソは2008年に瀕死の重傷を負うクラッシュを経験。ツーリズモ・ナショナルC3と呼ばれるカテゴリーのレースで宙を舞ったマシンは大破し、彼は頭蓋骨を骨折。顔や腰など身体中に深刻なダメージを負い、3日間の昏睡状態に陥った。
その後、懸命のリハビリを経て翌2009年にはフォーミュラ・ルノー2.0アルゼンチンのチャンピオンを獲得。このSTC2000王座はそれ以来となるビッグタイトルとなった。
「このトラックで勝ち、タイトルを決めることは僕にとって完璧なリベンジだった。もし(タイトル決定戦の場所を)自分で選ぶことができたとしても、このコルドバを選んでいたと思う」
2018年はすでにカーNo.1のルノー・フルーエンスGTをドライブすることが決まっているアルドゥソだが、将来的にWTCRや、DTMの舞台でステアリングを握る日が来るかもしれない。