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パナソニック×Google&Alexa、トヨタ e-Palette Concept…AIとのコラボで進化する自動車

2018年01月11日 10:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 アメリカ・ロサンゼルスで1月9日から(現地時間)開催されている、世界最大の家電見本市『コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)』。同イベントではVR/AR/MRやAI、IoTなどのワードが注目を集めているが、本稿では特に自動車の車内環境を変化させるAIを取り上げたい。


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 まず注目したいシステムは、パナソニックが発表したGoogle Assistantを搭載したSkip Generation及びAmazon Alexaを搭載したAlexa Onboardだ。どちらも車内向けの娯楽・情報提供システムで、Google AssistantやAlexaに呼びかけるとエアコンの操作や窓の開閉、音楽再生が可能になる。現在Google Assistantが搭載されているGoogle Homeシリーズ、Alexaが搭載されているAmazon Echoシリーズの場合、場所を移動するたびにWi-Fiを接続し直さなければならない上、インターネット環境がないところでは使用できなかった。しかしパナソニックの発表によれば、インターネット接続がなくても音声操作が可能になるという。またAlexa Onboardでは家庭で使用できるAlexaと連携できるそうで、ユーザーの好みに合わせた音楽再生や、家電操作が可能だ。より便利で近未来的な生活へ一歩近づきそうだ。


 とはいえ従来のカーナビでも会話を楽しめたり、音声操作ができるものは存在した。また、法人向けではあったがNTTドコモ、ゼンリン、ゼンリンデータコムがAI技術を活用した自動車向けの音声エージェントサービス・AIインフォテイメントサービスを提供するなど、全く新しい技術であるとは言い難い。会話をすることでより賢くなっていく、ユーザーの嗜好に合わせたサービスを提供する、といったAIならではの魅力や、Google Assistant・Alexaの独自性をどれだけ打ち出せるかが重要になりそうだ。


 また、AIによる自動運転技術も見逃せない。トヨタが発表した電気自動車(EV)、e-Palette Conceptはまさしく次世代の自動車だ。移動手段としてではなく、商用利用を主な目的とした一歩先を行く電気自動車といったところだろう。Amazonやピザハット、Uberなどと提携し、商品の宅配や移動型の飲食店、小売店、相乗りタクシーとしての利用を考えており、アメリカで2020年代前半から実験的に使用していく予定だ。それに先駆けて2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時にはe-Palette Conceptを選手の移動などに利用することも視野に入れているそうだ。例えば今後、フェス会場に出展する飲食店として登場したり、Amazonで購入したCDをe-Palette Conceptが届けてくれるなども考えられる。


 カーシェアの目的として移動だけでなく仮眠や着替え、カラオケなどの回答が挙げられていたが(参照:カーシェア、「仮眠」目的も多く ドコモ調べ (日本経済新聞))、今や自動車は単なる移動手段ではなくなっている。今回発表されたAIを取り入れた様々な技術は、自動車のエンタメ性を広げるものだった。同時に、発展していくAIの新たな可能性を示していたように思う。今後各社がAIとどうコラボしていくのかが、近未来的な生活を現実に近づける鍵となりそうだ。(村上夏菜)