F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンは、2021年以降の新エンジンルールについて、独立系エンジンサプライヤーの参入につながることになれば成功と言えるだろう、と話している。
ブラウンと彼の専門家チームは先日、F1パワーユニットの将来像を概説した提案書をまとめた。
2017年11月に各チームに提示された草案では、MGU-Hユニットの廃止と標準電子部品の部分的な採用、回転数3,000rpm増によるエンジンサウンドの大音量化、そして全体的な開発制限の厳格化など、複雑さが低減されたハイブリッド技術が大きく取り上げられている。
より安価なエンジンプラットフォームが2021年に導入されれば、部分的には独立系エンジンサプライヤー参入に道を開くことになり、ブラウンはそれこそがF1が将来成功するうえで最も重要だと考えている。
ブラウンは、Sky Sports F1の取材に対して「2021年以降のエンジンはより経済的、より安価なもので、もっと大きな音が出なければいけない」と語った。
「新規定は独立系エンジンサプライヤーでも製造が可能な内容にするべきだ」
「我々は独立系エンジンサプライヤーを入れると言いたいわけではない。だが、彼らでも参入できるくらいの技術仕様を定めることは必要なのだ」
「それは大変重要な指標だと考えている。なぜなら、もしそれが定められれば、パワーユニットを技術的にも経済的にも適正なものにできるからだ」
「現在のエンジンは本体だけで100万ポンド(約1億5300万円)もする。単にエンジンを買うだけでだ。開発費や、デザイン費などその他の経費は含んでいない」
「これはあまりにも高額すぎる。費用を低減して、もっと経済的なものにしなければいけない」
F1、FIAおよび各チームは、今後も上記の提案について討議を続けていく。しかしフェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネは、もしもブラウンがエンジン標準化に向けた道程に固執するようならチームをF1から撤退させると強く反対している。
メルセデスのトト・ウォルフも、草案の内容にはマルキオンネと同じく懐疑的だが、それでも偏見は持たずに話し合いに臨むとする姿勢を維持している。一方でルノーのシリル・アビテブールは、現在のパワーユニットが今後も開発を積み重ねるために適した基盤であるとして、完全な現状維持を主張している。