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草なぎ剛が音楽にのせた“繊細な思い”とは 愛情を形にしてきた自作曲の歩み

2018年01月08日 08:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 新しい地図を発足させ、SNSをスタートさせた草なぎ剛、 香取慎吾、稲垣吾郎。なかでも、草なぎのYouTubeチャンネル開設は、“ユーチューバー草なぎ”がTwitterでトレンド入りを果たすほどのパワーワードとして注目を集めた。


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 国民的アイドルの最前線を走り続けた草なぎが、どんな動画をアップするのか。その内容に多くの人が関心を持ったことだろう。ところがインターネットテレビAbemaTVで放送した『72時間ホンネテレビ』のオンエア中こそ、地上波顔負けの大掛かりな企画動画だったが、基本的には日常を切り撮ったようなほのぼのとした動画がアップされている。


 人気ユーチューバーたちとのコラボ動画も、いい意味で脱力系。テレビの世界を牽引してきた草なぎがインターネットで見せた顔は、これまで以上に彼の人間性を示すものだった。 親しみやすくて飾らない草なぎの姿に、むしろインターネットの寛容さを改めて気付かされるほどだ。


 特に、草なぎがギターで弾き語る姿は印象的だ。愛犬クルミちゃんを抱いて、気分よくギターをかき鳴らす。そして、手書きの歌詞が草なぎのやわらかな歌声とリンクして温かさを感じさせる。「新しい別の窓~略してアベマ~」「クルミちゃんの唄」「いま -新しい地図-」「クルミちゃんの唄」のタイトルの傍らには、SMAPファンにとっては思い入れのある星マークもうれしい演出だ。


 「曲ね、なんかいっぱい作ってて。10曲くらい作っちゃった」香取と草なぎがパーソナリテイを務めるラジオ『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)では、こんな発言も飛び出していた。もしかしたら草なぎにとって、作詞作曲する作業はSNSをスタートする以前からあったコミュニケーションツールだったのかもしれない。


 かつて、草なぎは「Beetle」という楽曲を作詞作曲している。<僕らの出会いは必然だったの 何で出会ったなんかって考えなくてもイイ!> 2015年9月22日にオンエアされた『 テレ朝SMAPバラエティ部 スマシプ 全然ゆるくないバスの旅』(テレビ朝日系) で披露されたこの曲は、旅をした中居正広と香取の2人に贈る曲だったが、「5人のこと考えて作ったの」とコメント。自分を除く5人ということは、オートレーサーの夢を叶えるために別の道を歩んだ森且行も含めてのSMAPメンバーのことだ。


 SMAP時代、かつてのメンバーであった森について話すことが遠慮される時期もあった。そして新しい地図をスタートさせたいまは、森との交流が再び始まったものの、今度はSMAPだった時期の話が自由にできない様子も伺える。しがらみの多い世界を生きる草なぎが、自由に思いを伝え、溢れる愛情を形にしているのが歌なのではないだろうか。そうした 視線で映像を見返してみると、彼のギターに刻まれた無数の傷が、湧き上がる様々な感情を受け止めたあとのように見えてくる。草なぎのギター愛も、言葉にできない想いを歌にして発信してきたパートナーだからこそなのかもしれない。


 草なぎが紡ぐ歌詞は、大切な人に向けた手紙をメロディに乗せて音読しているようだ。「 -いま新しい地図-」には、こんな一節がある。<いま、 ここから行くぜ たまには寂しくなる 時もある どうか、あなたには幸せでいて欲しい ねえ届いてるの? この気持ち ねえ聞こえてるの? 僕の声>あなたとは彼を支えてきた仲間(NAKAMA)、そしてメンバーのことではないだろうか。さらに<Please Stay by my side もうすぐ行くよ!>と続く。果たして、新しい地図を握りしめた彼らが、向かう場所に待っているものとは……? 明るく大らかな草なぎが抱く、繊細な思いに耳を傾けていきたい。(佐藤結衣)