トップへ

渡辺謙、島津斉彬を体現する眼光の鋭さ 大河ドラマ『西郷どん』第1回を振り返る

2018年01月08日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK総合)からバトンを受け取り、1月7日よりスタートしたのが『西郷(せご)どん』だ。薩摩の下級武士の家に育った西郷隆盛(鈴木亮平)が、藩主・島津斉彬(渡辺謙)や勝海舟、坂本龍馬らと出会い、維新の英傑として日本を動かしていく様を描く。


参考:『おんな城主 直虎』から『西郷どん』へ 大河ドラマは朝ドラを超えるか?


 第1回「薩摩のやっせんぼ」は、明治31年(1898年)西郷が西南の役で戦死して21年後、上野に“稀代の英雄”として彼の銅像が建てられるところから始まる。幕末の薩摩から日本を変え、女性にも男性にもめっぽうモテたという西郷隆盛とはどのような人物だったのか。『西郷どん』は、そんな彼の魅力を紐解いていく物語だ。


 薩摩の大自然を駆け回り、銃を撃ち、大空に向かって高く翔ぶーー。鈴木亮平が演じる西郷吉之助(隆盛)は、タイトルバックに映し出される桜島のように、躍動感みなぎる威風堂々とした人物だ。第1話では、そんな彼の根源とも言える生い立ちに迫る、幼少期・小吉(渡邉蒼)にスポットが当てられる。天保11年(1840年)、日本人がまだ鎖国の深い眠りにいた頃の話だ。


 薩摩藩の世継ぎである島津斉彬、後に西郷3人目の妻となる岩山糸(子供時代・渡邉このみ)との出会いが、彼の運命を大きく変えていく。現代の鹿児島にも精神が根付く郷中教育は、度量ある西郷の基礎を作った。それに加えて、彼に火を付けたのが斉彬だ。幼い仲間を見捨てた小吉に、斉彬は「弱い者の身になれんやつはな、弱い者以下のクズだ!」と、役立たずの意味である薩摩言葉「やっせんぼ」と罵る。自身の立場に満足することなく、強さを追い求める斉彬の姿に小吉は惹かれていく。


 小吉は、道の真ん中も歩けず、剣術も相撲もできない“弱い者”である女子・糸の気持ちになり、「同じ人間なっちょね」と相手の気持ちに寄り添ってみせた。斉彬の精神が小吉の中で息づき始めたことが垣間見えるシーンだ。西郷にはどっしり構えた姿のイメージがあるが、みなに愛された理由の一つでもある優しさはこの時から持ち合わせていたのだろう。


 小吉は、恨みを持った他の町の少年から刀で肩口を切られ、二度と剣が振れなくなってしまう。いつか忠義を尽くしたいという夢と、二度と刀を持てなくなってしまったことを斉彬に伝える小吉。斉彬はまだ幼い彼に、「これからはか弱き者の声を聞き、民のために尽くせる者こそが真の強い侍となる。お前はそういう侍になればよい」と諦めず生きることを諭す。斉彬を演じる渡辺謙の力強い眼光が、小吉に希望を見出したのが伝わってくる印象的な一幕だった。


 第2回「立派なお侍」では、鈴木亮平演じる西郷吉之助が登場。大久保正助(瑛太)、於一(北川景子)などメインキャストを迎え、恋愛、友情が展開される青春薩摩編がスタートする。「西郷どん」という呼び名には、深い敬愛の念と親しみの意味が込められているが、彼がどのように愛し愛され、亡くなっていったのか。か弱き民のために奔走する西郷どんの物語が幕を開けた。(渡辺彰浩)