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門脇麦、『トドメの接吻』“キーパーソン”に抜擢の理由 その“狂わせる”魅力から読む

2018年01月07日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 連続ドラマ初主演である山崎賢人を筆頭に、新田真剣佑、新木優子、佐野勇斗、志尊淳、そして菅田将暉と、今をときめく若手俳優が大集結して話題の『トドメの接吻』(日本テレビ系)。この中で、最重要人物ともいえるキャラクターを演じるのが門脇麦だ。“キスで殺す女”という怪役への挑戦に、大きな期待が集まる。


参考:『トドメの接吻』1月7日放送第1話 場面写真


 門脇は2011年のデビュー以来、特定のイメージにとらわれることなく、ありとあらゆるキャラクターに挑み続けてきた。地味で真面目そうな見た目ながらも大胆な女子大生役を過激に演じきった『愛の渦』や、劇団イキウメの傑作戯曲の映画化『太陽』で演じた、新人類と旧人類の間で揺れる少女・生田結役。そして、映画単独初主演を果たし、“尾行”することで人間の二重性に近づいた『二重生活』での白石珠役。


 昨年の活躍でいえば、引きこもりがちなヒロイン像が印象的だった主演作『世界は今日から君のもの』での小沼真実役や、大切な人の死を背負い、美しい舞や歌声までも披露した『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のセリ役、クラシカルな雰囲気が作品世界と見事にマッチした『花筐/HANAGATAMI』での千歳役などの好演が記憶に新しい。


 大きめでどこか憂いを帯びた目や、クラシックバレエの経験が活きているのであろう凜とした佇まいは、スクリーンによく映える。そして、儚げで特徴ある声は観客を惹きつける。これらは門脇の魅力として、特異なキャラクターや、物語を駆動させる“キーパーソン”へと立て続けに起用される理由のひとつとなっているのではないだろうか。


 “映画女優”としての印象が強い門脇だが、連続テレビ小説『まれ』(NHK)での好演をはじめとし、以降知名度は十分すぎるほど上がってきた。このタイミングでの連続ドラマのヒロイン抜擢は、かなり大きな意味を持つこととなるはずだ。また、KERA・MAP『グッドバイ』や『わたしは真悟』、『フェードル』と、舞台への出演もコンスタントに重ね、表現者としての可能性はまだまだ広がり続ける。


 『トドメの接吻』で門脇が演じるのは、成り上がることだけを追うクズな主人公・堂島旺太郎(山崎賢人)を“死の接吻”によって死に至らしめ、さらには7日前にタイムリープさせてしまう、“キス女”という謎の存在。ヒロインというポジションにあるものの、かなり強烈なキャラクター設定。これまでの作品で見せてきたいくつもの顔や、独特な色気とオーラを放っていた門脇だからこそのキャスティングだと見てとれる。


 番組公式ホームページ(http://www.ntv.co.jp/todomenokiss/chart/index.html)で門脇本人は「久しぶりの山崎さんとの共演、他のキャストの方々も素敵な方ばかりだし、監督はじめスタッフの皆さまの作品への士気の高さ、今からわくわくが止まりません」とコメントしている。門脇と山崎の共演は、『オオカミ少女と黒王子』以来となり、『まれ』などでも共演していたが、2人だけでがっつりと芝居をするシーンはそこまで見られていなかった。本作での2人の掛け合いにもまた、新鮮さが感じられるはずだ。


 “キス女”という怪役に、門脇がどのようなアプローチで挑むのか非常に楽しみである。狂わされ、翻弄されるキャラクターたちと同様に、私たち視聴者のことも大いに翻弄してくれるはずだ。


※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記


(折田侑駿)