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志尊淳&ももクロ玉井詩織、イメージを覆す新境地 NHKドラマ『女子的生活』のリアリティ

2018年01月06日 13:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 トランスジェンダーの主人公・小川みきを演じる志尊淳のビジュアルが公開されて以来、放送前から大きな反響を呼んでいたNHKドラマ10『女子的生活』。1月5日に放送された第1話では、みきが同級生の後藤(町田啓太)を助けたことをきっかけに行った合コンでの、“女”同士のバトルが描かれた。


参考:進化し続ける俳優・志尊淳、2018年はどうなる? 去年の活躍を振り返る


 冒頭から可愛い小物、色とりどりのファッショアイテムを背景に、ハッシュタグのテロップ、みきを演じる志尊のモノローグが重なっていく。みきが語る言葉通り、まさに「イマドキ女子のスタイル」。しかし、みきがメイクをし、身支度をするまで、一切その顔は映らない。通勤中、木に引っかかた子供の風船を、長身を活かして取ってあげるところで、初めてみきの素顔が明らかになる。すでに志尊の女装姿は明らかになっていたが、あまりにも自然な“女性”としての志尊の姿には驚くべきものがあった。


 ただ女装をしているのではない。その仕草やしゃべり方、姿勢、何気ない動きが、「こういう女性見たことある」と思える、まさに“女性”になっているのだ。ライターの久保田和馬氏が「進化し続ける俳優・志尊淳、2018年はどうなる? 去年の活躍を振り返る」で述べているように、多くの作品で多彩なキャラクターを演じてきた志尊だからこそ、この難役をリアリティあるものにできたのだろう。


 その一方で、同級生の後藤から手土産にもらったあんドーナツをかじり「うんめぇ~」と言葉を漏らす瞬間や、合コンでターゲットにしたゆい(小芝風花)に強引に迫っていくさまなど、“女性”でありながらときに垣間見える力強さに、『きみはペット』や『帝一の國』で演じたキャラクター以上の“男らしさ”を感じてもしまった。志尊演じるみきは、回を重ねるごとにその魅力を増していきそうだ。


 みきの職場の同僚であり、よき理解者でもあるかおりを演じるのは、ももいろクローバーZの玉井詩織だ。メンバー全員が参加した映画『幕が上がる』でも、監督の本広克行からその演技力を高く評価され、近年は『ストレンジャー~バケモノが事件を暴く~』(テレビ朝日)、『漫画みたいにいかない。』(Hulu/日本テレビ)にも単独出演している。メンバーの中でもいち早く司会を任されるなど、瞬発力と判断力を持ち合わせる彼女を“天才”と、ももクロのマネージャーを務めた川上アキラは評していたが、その才は本作でも遺憾なく発揮されていた。


 ファストファッション会社でOLとして働く姿から、表の顔と裏の顔を使い分け、合コンに来た男性陣を翻弄していく姿、みきとトイレで合コンの作戦を考える姿など、“アイドル”としての彼女を知っている人からすれば、真逆の姿と言っても過言ではないだろう。


 志尊淳、玉井詩織、そして、自然派気取りの女性ゆいを演じた小芝風花など、それぞれがこれまでのイメージ一新する好演を見せてくれた。性的マイノリティであるみきが、“今”を全力で生きる姿を応援しながら、残り3回の放送も追いかけていきたい。(石井達也)