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葵わかな&松坂桃李、“親”としての成長 『わろてんか』登場人物たちの変化描いた第14週

2018年01月06日 10:02  リアルサウンド

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 藤吉(松坂桃李)とリリコ(広瀬アリス)のハグ、てん(葵わかな)と伊能(高橋一生)の急接近、キース(大野拓朗)がトキ(徳永えり)に言い寄る場面など、昨年末の『わろてんか』(NHK総合)は気になる場面を多く残したまま放送を終えていた。今年初の放送である第14週「みんなの夢」は、島根からやってきた踊り子4人による“安来節乙女組”の初高座までがメインに描かれた。踊り子の1人、とわ(辻凪子)はてんの息子・隼也(南岐佐)とともに家出騒動を起こす。踊り子たちの成長が物語の軸ではあるが、てんや藤吉、風太(濱田岳)、リリコらが“人の上に立つ”という立場の変化が描かれた週でもあった。


参考:葵わかなが語る、『わろてんか』てん役を通しての成長 「常に向上心をもって演技をしていきたい」


 大正10年秋。第13週「エッサッサ乙女組」から『わろてんか』は、新たな展開に入っている。まだ赤子だった隼也が7歳になり、てんと藤吉と朝ごはんを食べ、学校に行くワンシーンは今までになく新鮮だった。藤吉は勢い良く家を飛び出していく隼也を“鉄砲玉”と例えたが、それはてんも認めるように、藤吉を見て育った証拠でもある。隼也は、学校で友達に怪我をさせる。それに加えての家出騒動。藤吉は隼也の横に座り、「喧嘩のわけも、家出のわけも聞かん。俺はお前を信じる。そやけどな、迷惑かけた人には謝らなあかんで」と頭を撫でる。それは、藤吉の父親としての姿。てんも藤吉も寄席の事業があるため、隼也を子守に預けていたが、彼も大きくなり自我を持つようになった。喧嘩の原因は、芸人になりたいという夢を馬鹿にされたから。それは、「芸人になればお母ちゃんといつも一緒にいられるから」という思いから成るものだった。


 風鳥亭は、大阪演芸界のトップへと成長し、藤吉は代表取締役兼総席主に。てんは、取締役経理という立場になっていた。島根から踊り子らを連れてくる際、芸人を家族だと思っていると話す藤吉は「父親になって厳しく育てる」と踊り子の家族に了承をもらい、てんも“大阪のお母ちゃん”として女子寮の設立を担当し親身に世話を焼いていたが、父親として、母親としての立場を息子の隼也から改めて教えられることとなる。親子とは言え、藤吉もてんも気づき、気づかされ、日々成長しているのだ。


 風太は風鳥亭の大番頭、総支配人として各寄席の席主を監督。乙女組の稽古を藤吉から任せられた風太は、臨時講師として抜擢されたリリコとともに、彼女らの指揮を執る。てんは、踊り子4人に“お金を頂く芸人”という立場を弁えるように厳しく怒鳴りつける。しかし、てんの一言は、一緒に話を聞くリリコにとっても身にしみる言葉だった。リリコは、伊能のもとで活動写真の女優として起用されているが、演技に対して気乗りせず、伊能との言い争いの繰り返し。リリコも、踊り子らの上に立つことで、今置かれている立場に気づくのだった。


 3月のラストに向け、後半戦へと突入した『わろてんか』。1月末からは、新たなキャストの出演も予定されている。それぞれの関係性のほか、立場の変化に注目してみるのも、これからの見どころの一つと言えるだろう。(渡辺彰浩)