2018年01月05日 10:12 弁護士ドットコム
神社仏閣を参拝した記念に貼る「千社札」を知っていますか。自分の名前などを書いた紙のお札のことです。愛好家によると、寺社を注意深く眺めてみれば、有名人の千社札が見つかることもあるそうです。
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「御朱印帳って流行っているでしょう。あれは持って帰るだけだけど、千社札は自分の『足跡』を残せるのがいいんだよね」
そう語るのは、東京都北区の男性(60代)。ネットで業者を探し、自分の名前の千社札を作ってもらったそうです。実際、検索すると、この手の業者が複数ヒットします。自慢のお札は、馴染みの居酒屋のキープボトルの目印としても使われていました。
男性はここ数年、妻とともに寺社をめぐって、千社札を貼って回っているそうです。「自撮り棒」のような折りたたみ式の棒を使って、建物の梁などに貼るのだとか。見せてもらった写真には、自身のもののほか、有名落語家や横綱の名前もありました。
しかし、中には千社札を迷惑だとして、禁止している寺社もあるそうです。千社札を勝手に貼る行為は、どのように捉えられるのか。星野宏明弁護士に聞きました。
ーー一般論として、無許可でお札やシールを貼る場合、どんな問題になる?
器物損壊罪のほか、建造物と一体となっている部分への無断貼り付けは、建造物損壊罪として5年以下の懲役となる可能性もあります。
特に、貼り付け禁止が明示されている場所に無断だったり、除去困難な形で貼り付ける場合、器物損壊や建造物損壊の罪に問われる可能性は強まります。
ーー千社札を寺社に貼る場合、禁止が明示されていたらどうなる?
除去困難な方法で貼り付ける場合、器物損壊や建造物損壊の罪に問われるおそれがあります。重要文化財などの場合、文化財保護法違反となることもあります。
ただし、建物や貼り付け場所を傷つけることなく容易に除去できる場合は、器物や建物の損壊とまではいえないため、犯罪にはならない可能性もあります。
ーーでは、禁止を明示していなければ、貼っても大丈夫?
当該場所での貼り付けが管理権者から許容されている場合は、許可があるものとして、貼り付けも犯罪とはなりません。
ただし、管理権者の許可があるかどうかは、不明確な場合もあるので、禁止か許可か明示がない場合は、よく確認してから貼り付けを行うようにした方がよいでしょう。許可がなければ、すでに説明した器物損壊などに問われる可能性があります。
寺務所・社務所などに事前に確認しておきましょう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
星野 宏明(ほしの・ひろあき)弁護士
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