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HAMBURGER BOYS、北海道で人気の理由は? ご当地ソングにとどまらない楽曲の奥深さを紐解く

2018年01月03日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ふるさと納税やご当地PR動画などを通して、各都道府県や市町村の魅力を全国に向けて発信すること、そして、そういった情報に対し他地域の人々が興味を持つことが一般的となりつつある昨今。音楽シーンでもローカルに特化した新たなユニット、HAMBURGER BOYS(ハンバーガーボーイズ)が注目を集めている。彼らは北海道出身・在住の山田雄太(Vo)、田村次郎(Gt)金田ヒデミ(DJ)からなる3人組ユニット。2012年に札幌で結成以降、それぞれが職に就きながらマイペースに音楽活動を続けてきた。そんな彼らが今では北海道のテレビやラジオで曲を紹介されることもしばしば。地元での知名度を上げており、地域のイベントに呼ばれる機会も増えているという。


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 彼らの楽曲は、なぜ北海道の人々から支持を集めているのか? それは、北海道の市町村と特産品などをテーマにした個性的なラップソングがリスナーに大きなインパクトを与えているからだろう。HAMBURGER BOYSは、タラコの産地・鹿部町で開かれた地域振興イベントで歌った「GET TARACO(鹿部町)」をきっかけに、市町村をテーマとした曲作りをスタートした。実際に住んでいる人々からすると、町のことが歌われる歌詞は“あるある”として共感することができ、身近なものとして親しみを持つことができる。その証拠に「GET TARACO(鹿部町)」は道の駅などでも流されるほど地元ではポピュラーな曲となった。


 地域の人々に愛されることはもちろん、目下「北海道各地の知名度を上げたい」と道内全179市町村の曲作りを目標に掲げて活動中のHAMBURGER BOYS。市町村シリーズは、現時点で6曲が完成。それぞれの楽曲は、より歌詞の内容が伝わりやすくなるようテロップつきのMVも自主制作し、動画サイトで公開している。


 初めて彼らの曲を聞く人の中には「こんなおしゃれなトラックにこんな歌詞が乗っているはずがない」と耳を疑う人もいるかもしれない。ボサノバ調の軽快なリズムに「蘭越米」や「温泉郷が7つある」などのご当地ワードを取り入れながら歌う「RUN K.O.C.(蘭越町)」、特産物のソバの魅力をファンクチューンにのせた「JUST SOBA(新得町) 」のように、テーマ選び・言葉選びではユーモアを存分に発揮する一方、あくまでサウンドは真面目に洗練されたものを作る。そういったギャップが、彼らの曲が単なるご当地ソングにとどまらず、多くの人々の関心を集めている一つのポイントでもある。


 なかでも「KAKKI – 厚岸産」では、もっともそのギャップがわかりやすく表現されている。これはファレル・ウィリアムス「HAPPY」のカバーで、おなじみのメロディに厚岸産の牡蠣にまつわるリリックがのせられた空耳的発想のナンバーだ。過去には、北海道の土産物店で流れていた同曲に興味を示したキュウソネコカミのヨコタシンノスケ(Key/Vo)がTwitterで紹介、WHITE JAMのSHIROSEも自身のツイートの中でこの曲にふれるなどの反響も。HAMBURGER BOYSの音楽は、他県の人々、さらにはミュージシャンからも注目されるものへと着実に発展を遂げている。


 まさに急上昇中の彼らは、2018年1月6日18時からは初のレギュラーラジオ『おばんです!HAMBURGER BOYS』(FM NORTH WAVE)がスタート、今後は北海道外も視野に入れた活動を行っていく予定とのこと。HAMBURGER BOYSは、誰にでもわかりやすい言葉を用いて、テーマに沿った楽曲を作ることに長けたユニットのため、北海道以外のテーマの曲、あるいはCMや主題歌の書き下ろしなどでも大いに活躍できるポテンシャルを秘めている。北海道の魅力を伝える伝道師として、また音楽シーンに新たな刺激を与えるニューカマーとして、彼らが全国進出を果たす日はそう遠くはなさそうだ。(久蔵千恵)