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「『キングスマン』シリーズはいい意味での“逃避”」 コリン・ファース インタビュー

2018年01月01日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2015年に公開された『キングスマン』の続編『キングスマン:ゴールデン・サークル』が1月5日に公開される。前作同様マシュー・ヴォーン監督がメガホンを取った本作では、壊滅したロンドンのスパイ組織“キングスマン”のエグジーとマーリンが、アメリカの同盟スパイ機関“ステイツマン”とともに、新たな敵ゴールデン・サークルに立ち向かう模様が描かれる。


参考:「ハリー抜きの『キングスマン』は考えられなかった」 マシュー・ヴォーン監督インタビュー


 リアルサウンド映画部では、マシュー・ヴォーン監督に続いて、キングスマンのエース・エージェント、ハリー・ハートを演じたコリン・ファースに電話取材を行った。前作で死んだと思われたハリー復活についての思いや、ジュリアン・ムーア出演についての裏話、さらに『キングスマン』シリーズに対する考え方などについてもを話を訊いた。


ーー前作で死んだと思われたハリーの復活はファンにとって大変嬉しいことだったと思います。ハリーが復活することはいつ知ったんですか?


コリン・ファース:明らかになり始めた時点はあったけど、特定の瞬間というのはないね。僕は驚かなかったから、早い段階でそのことについてほのめかされていたんじゃないかな。ハリーの復帰には必然性があるとずっと思っていたし、もしかすると、僕はハリーが死んだことから目を背けていたのかもしれない。でも、マシュー(・ヴォーン)が何か方法を見つけるだろうと思っていたんだ。彼とはどうすればうまくいくかについて、とんでもなくバカげたものから、前作のように定番すぎるものまで、幅広いバージョンについていろいろと話し合ったんだ。マシューはハリーの復帰をかなりはっきりと決めていたね。


ーー結果的に選択した復活の仕方についてはどう思っていますか?


ファース:内容をあまり明かさないように言うと、前作でのハリーとエグジーの関係性は今回の作品でも維持されている。これらの登場人物がお互いに感じている気持ちが、今回の作品のテーマになっているんだ。ハリーは非常に特別な状況にいるけれど、僕はそれほど大きな驚きにはならないと思っているよ。


ーーハリーは前作とは違う面もありますね。


ファース:今回の不完全な部分を持ったハリーを演じるのはすごく楽しかったけど、1作目のハリーが恋しいなと少し思ったりもしたよ。それと同時に、ただ繰り返すよりも、全然違うアプローチを一つのチャレンジとして与えられたのは、僕にとってもよかったと思っているんだ。まさにそれがマシューだよね。観る者に期待を持たせておいて、それを見事に裏切る。だからこそ失われたキャラクターも戻ってきたりするんだけどね(笑)。


ーー本作の悪役であるゴールデン・サークルのボス、ポピーを演じたジュリアン・ムーアへのオファーがあなたを通して行われたというのは本当ですか?


ファース:それは本当の話だよ! キャスティングについて、結構前からマシューが「こんな人はどうか」と話していたし、ポピーという役ができてからも、2~3人この人はどうかと相談されていたんだ。ただ、マシューは最初からジュリアン・ムーアにお願いしたいと言っていたね。それでマシューが僕に「彼女のことは好きか?」と聞いてきたから、「もちろん、大好きだよ」と答えたんだけど、「やってくれるかな? この役を?」と聞かれたんだ。でもそれは僕が答えられることではないから、彼女に連絡してもいいかを確認したあと、僕から直接「『キングスマン』を観た?」とメールしたよ。ジュリアンも気に入っていたし、彼女の子供たちも大好きだったみたいで、すぐに「イエス」と言ってくれたんだ。もともと彼女とは、「再び共演したいね」とずっと話していて、今回やっと再会できたけれど、皮肉なことに1シーンしか共演していないんだ(笑)。ただ現場では多くの時間を一緒に過ごしたし、彼女とはいつでもまた共演したいと思っているよ。


ーー歴史ものやコメディ、ラブストーリー、社会派ドラマなど、あなたは様々なジャンルの作品に出演していますが、近年のキャリアにおいてアクション映画は意外と珍しいですよね。『キングスマン』シリーズはあなたのキャリアにおいてどのような存在でしょうか?


ファース:正直、自分のキャリアにおいてどのような意味があるのかということは自分にはまったく分からない。言ってくれたように、確かに僕はこれまでいろいろなジャンルの映画に携わってきた。人を楽しませるものもあれば、人を考えさせたりするもの、あるいはダークな気持ちに向き合ってもらいたいような映画もある。ストーリーテラーには2つの種類があって、1つは、我々の住む世界自体が荒涼とした非常に怖い場所だから、それに向き合うための役に立つようなタイプ。もう1つは、世界がそんな風に暗いならば、「そこに希望があるから」と望んで逃避するタイプに分けられる。どちらも同じくらい重要だと思うし、この『キングスマン』シリーズは僕にとっていい意味での“逃避”だと思っている。人を楽しませるのが目的である映画に関わることは、役者にとっての解放感にも繋がるんだ。(取材・文=宮川翔)