2017年12月30日 09:02 弁護士ドットコム
何かと出費の多い季節。年末年始もがっつりアルバイトをして稼ぎたいと思う人も多いかもしれません。そんな中、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに「年末年始働けると言ったが今すぐ辞めたい」といった投稿が寄せられました。
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相談者の男性は、1か月半ほど前から始めたアルバイトの面接時に「年末年始に働ける人を募集している」と言われ、口頭で承諾しました。しかし、実際に働いてみると理不尽に怒られたり、一方的に相談者のせいにされたりといったことが多々あり、「精神的に辛くなって辞めたくなった」と話しています。
相談者は年末年始に働かずに辞めた場合、賠償金を請求されたり、減給処分をされたりするのかと不安に感じているようです。ある一定の期間に働くことを承諾しながら、その前に辞めることはできるのでしょうか。大西敦弁護士に聞きました。
「アルバイトを辞めようとする場合、そのアルバイトが期間の定めのあるものなのかどうかが問題となります。期間の定めがない場合、退職の2週間までで申し出れば問題ありません(民法627条1項)。期間の定めがある場合、契約期間がある場合ですが、期間満了前に退職するためには、「やむを得ない事由」が必要です(民法628条)」
大西弁護士はそう指摘します。今回の相談者の場合、どうでしょうか。
「今回のケースがやむを得ない事由に該当するかどうかは何とも言えないところですが、いわゆるパワハラと評価される行為がなされているのであれば、『やむを得ない事由』に該当すると思います」
働かずに辞めてしまった場合に、損害賠償請求をされるのでしょうか。
「よほどのことがない限り、例えばですが、突然いなくなり店舗が開けられなくなったといったようなことでもない限りは、損害賠償請求が認められることはありません。仮に、代わりのアルバイトが見つかったような場合には、賃金を支払うことに変わりはないわけですし、退職したことによる損害を立証することは容易なことではありません。
また、退職したことによって、すでに勤務が終了している分の給与を減額することはできません。なお、雇用契約書にサインをしているかどうかは立証の問題です。口頭でも雇用契約は成立しますので、法的な効果は変わりありません」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大西 敦(おおにし・あつし)弁護士
2004年弁護士登録、東京弁護士会所属。2015年に千代田区神田神保町において、大西法律事務所を開設。労働組合の顧問弁護士を始め、労働事件を労働者側、使用者側で多数受任している。
事務所名:大西法律事務所
事務所URL:http://www.onishi-law.com/