ここ最近、ネットで話題になっていたサントリーの缶酎ハイ「ストロングゼロ」。12月27日には、NHKの「ニュースウォッチ9」で"ストロング系缶酎ハイ"として紹介され、ネットがざわつく事態となった。
番組によると、ストロング系缶酎ハイはアルコール度数が高めで、若者を中心に愛飲されている。実際に街中でストロング系缶酎ハイを飲んでいた若者は、
「仕事の疲れとかストレスが吹き飛ぶ。ストロング飲むと幸せっす」
「弱いのいっぱい飲むよりは強いの1本飲んで『ちょっと酔ったな』くらいが安いしいいかな」
と語る。酔いたいときに飲む人が多いようだ。
「あれは孤独を枕に飲むものだ」 文学的ツイートが頻出
人気はかなりのもので、「若者のビール離れ」が叫ばれる中、アルコール度数が8%以上の缶酎ハイなどの市場規模はこの5年で2倍以上に拡大。第一生命経済研究所の永濱利廣さんも番組中で、「同じ酔うのであればできるだけ安いコストで酔いたいと、時代を象徴するような動き」と評した。
また12月からツイッターで盛り上がっている「#ストロングゼロ文学」も紹介された。自身の置かれた状況を、文学のようにストロングゼロに寄せて書くというムーブメントだ。
「ストロングゼロは誰かと席を並べたり、向き合ったりして飲むような酒ではないという気がする。あれは孤独を枕に飲むものだ」
「ストロングゼロを胃にジャーっと流し込めば将来の不安が少しだけ緩和する気がするってそんなんで緩和する不安なんてやすいもんだな」
詩人で社会学者の水無田気流さんは、孤独や不安感をあえてさらけ出し、「ある意味ではダメな自分を客観的に認めてもらう自己確認の表現だったりする部分もある」という。さらに不安や孤独の吐露を共感してくれる人がいることへの安心感があるのでは、と指摘し、
「誰かに反応してもらわないと自分が存在していないかのような、新しいタイプの孤独感を抱えている人たちは増えていると思う」
とコメントしていた。
「口当たりもよく、価格も安い気軽さがアルコール依存症を引き起こす要因になっている」
番組ではストロング系缶酎ハイの危険性も指摘された。500ミリリットルのストロング系酎ハイに含まれるアルコール量は、テキーラのショット3.75杯分に相当する。ストロング系缶酎ハイを大量に飲み続け、アルコール依存症と診断された人もいる。
アルコール専門外来の中田千尋院長も、「口当たりもよく、価格も安い気軽さが依存症を引き起こす要因になっている」と指摘。さまざまな臓器障害を引き起こす可能性もあるため「ちょっと立ち止まって考えてもらうということ」も必要だとしている。
NHKも、ストロング系缶酎ハイは「ツイッターに孤独や不安を書き込む人たちの心のよりどころになっている」とした上で、飲み過ぎ注意を呼びかけていた。
ネット上では「(ストロングゼロ文学は)ただの大喜利」であって、若者の孤独感が背景にある、といったことはない、という指摘も出ていたが、いずれにせよ度数の高い酒を飲み過ぎるのはよくない。ツイッター上でも
「NHKでストロングゼロ中毒やばいみたいなのあったらしいけど、あれマジで頭痛くなるから飲めない…みんなよう飲むな…」
「ストロングゼロ文学がNHKで取り上げられるとは。 孤独とアルコールは非常に危険な組み合わせ。 混ぜるなキケン!!」
といった声が出ていた。