国土交通省は12月22日、「2016年度 鉄道係員に対する暴力行為の実態調査」の結果を発表した。同年度の暴力行為の発生件数は全国で825件。前年度から48件減少した。また、加害者の約6割が飲酒をしていたことがわかった。
鉄道係員に対する暴力行為は、鉄道の安全確保や利用者への良質な輸送サービスの提供に影響を与えるおそれがあることから、同省は2013度から全鉄軌道事業者を対象に本調査をスタートした。
具体的な暴力事例には、
「駅係員が改札窓口横のガラスを蹴っていた53歳男性酔客に対し、おやめいただくようお願 いしたところ激高し、飛び掛るように右拳で右胸あたりを殴打した。加害者は警察に連行された」(50代男性、飲酒あり)
などが挙がっている。
暴力発生件数は東京都がトップ 神奈川や大阪など都市部でも多い
暴力発生件数を都道府県別に見ると、「東京都」が264件で全国最多。「神奈川県」(95件)、「大阪府」(65件)、「埼玉県」(61件)など都市部にある県が続いた。「千葉県」(50件)、「愛知県」(50件)、「兵庫県」(34件)でも発生件数が30件を超えている。
一方で、「岩手県」「高知県」「鹿児島県」などをはじめとし、東北や四国、九州の9県では発生件数がゼロだった。
暴力行為の具体的な事例としては、飲酒ありのケースでは、
「ホームにて、旅客案内中の駅係員が、到着した列車から降りてきた旅客(男性)から、いきなり『ふざけんなよ』と言われ、左こめかみ付近を殴打された。当日はこの暴力行為の約1時間前に人身事故が発生しダイヤが乱れていた。(頭部外傷、全治3日間) 加害者は警察に連行された」(60代男性)
飲酒なしのケースでは、
「コンシェルジュが特急券発売窓口前でご案内していたところ、旅客から特急券の購入について問い合わせを受け、窓口に並んでいただくようにご案内したところ突然、怒鳴りながら左腕を強く掴まれた。その後、駅係員に応援を求めその場に戻ると加害者は見当たらなかった」(70代)
などが挙がっている。
こうした事態に対して鉄道事業者は、「警察官と連携した巡回・ガードマンによる巡回の実施」「暴力行為防止ポスター掲出等の啓発活動」といった取り組みを進めている。