12月26日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)で、不動産業者の理不尽な経営手法が取り上げられ、「テレ東がまた攻めてる」とネットで話題になっている。
三重県津市には、駅から車で10分ほどの所に通称「レオパレス銀座」と呼ばれるエリアがある。田んぼが広がる平地にアパートがタケノコのように林立しており、異様な光景だ。なんと1キロ内に40棟もあるという。ほとんどが東証一部上場のレオパレス21のアパートである。(文:okei)
「30年安定経営できるなら、こんなラッキーなことはない」はずが
アパートオーナーの1人であるSさんは、11年前に2億円の借金をしてアパートを建てた。レオパレス21の「一括借り上げシステム」で、入居者がなくても一定額の家賃がオーナーに支払われ、それは30年間続くと説得されてのことだった。
「相続税対策になる。毎月小遣い程度いただきながら、30年間安定的に経営できるなら、こんなラッキーなことはない」
と思ったそうだ。
ところが、気付けば周囲はレオパレスだらけになっていた。2016年、レオパレスは入居率が下がったことを理由に、いきなり家賃収入の30%減額を提案してきた。「アパートを乱立させて入居率のことを言うのはお門違い」とSさんは憤る。
14年で契約を打ち切られた岐阜県のKさんは、解約当時の入居は1部屋だけで、家賃収入はたった2万円に。今も赤字経営に苦しんでいる。
減額や解約に応じなければ営業マンに4~5時間粘られ、「今日契約しないと倍くらいの減額になる」などと脅された人も。これを「一方的な交渉だった」として、9月には277人のオーナーが減額の取り消しを求める集団訴訟を起こしている。
レオパレス社長に内部メール突きつけ問い詰める
こうした状況を会社はどう考えているのか。テレビ東京が取材を申し込むと、深山英世社長が自ら対応した。
「リーマンショックがありました。部屋を使う需要が企業を中心に喪失されていく中で、入居率がかなり低下した地域もあった」と釈明し、「それに基づいてオーナー様と協議をして、同意のもとに改定手続きをしました」とコメント。脅迫めいた署名を求めるなどの対応も「私はないと思っています」と冷静に答えた。
しかし、テレビ東京が独自入手した2011年8月10日付けの社内メールには、【終了プロジェクト】と題されたレオパレスの戦略が示されていた。
「契約から10年を超えたアパートは、基本的に解約を前提とした交渉を行う」
「10年未満は、家賃を大幅に減額」
とあり、「解約を辞さない強気の交渉」をするよう、全国の社員に一斉送信で指示していたのだ。
メールを印刷したものを社長に見せ、「"解約を前提とした交渉を行う"ことが社内のメールで回っていると読めるんですが」と問い詰めると、最終的には「私のコメントは差し控えさせていただきたい」との答えになった。メールの存在は否定していない。
テレビ東京、民放でありながら大企業を攻める姿勢が話題に
番組を見ていた視聴者からは、「テレビ東京がまた攻めてる」「テレ東は頑張ったな」「最近なかなかジャーナリスティックでいいですね」など、賞賛の声が次々に上がっている。民放でありながらスポンサーを怖れず食らいついた姿勢を評価する人が多かった。
一方で、「レオパレス銀座」という揶揄めいたワードが多数ツイートされ、グーグルマップなど画像付きで晒される事態も起きている。オーナーの甘さを指摘する声もあったが、相手は不動産営業のプロである。番組でも専門家が「正確な判断はできないはず」と話していたように、交渉術ではかなわない。
最近のテレビ東京は、外国人技能実習生の労働問題で大手アパレルメーカーを厳しく糾弾するなど、攻めの姿勢が話題となっている。今回の放送で、さらに注目度が上がったようだ。