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欅坂46、2017年は“集団”から“個”へ? 出演番組に見る、グループの成長と変化

2017年12月28日 17:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2017年の欅坂46は、8月に初の全国ツアーという大舞台を経験し、メンバーそれぞれの成長とグループとしての課題が見えた1年だったと言える。その一方で、テレビや雑誌といった各種メディアでソロとして個性を発揮するメンバーも増え、グループとしても歌番組への出演や賞レースにも名前を並べるようになった。2017年は音楽の枠にとどまらないマルチな活動を広げ、ファン以外からも注目を集める存在になったと言えるだろう。


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 乃木坂46や欅坂46からなる坂道系グループは、AKBグループのように専用劇場を持たない代わりに、テレビ番組をベースとして活動を展開してきた。欅坂46の場合は、2015年10月に放送がスタートした初冠バラエティ番組『欅って、書けない?』(テレビ東京/以下、けやかけ)が、彼女たちの成長と情報を発信し続けてきたホームグラウンドである。まったくの素人だった彼女たちにバラエティ番組を経験させ、デビューまでじっくりとそれぞれの個性を伸ばし、テレビを通してファンを増やしていく。その甲斐あってか2016年は、デビューから『徳山大五郎を誰が殺したか?』(テレビ東京)でドラマ初主演が決まり、さらに12月には有明コロシアムで初ワンマン、そして『第67回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)へも初出演を果たした。まさに初尽くしの年と言え、グループとしての知名度も上げた。


 2017年は個人活動が増えたおかげで、各自のキャラクターを世間にアピールできる年だった。例えば、渡辺梨加と渡邉理佐は雑誌の専属モデルとして活躍。自分たちの道を切り開いたのはもちろん、次に続く逸材はいないかと他メンバーにも業界の注目が集まり、グループとしての勢いにも拍車がかかった。テレビ出演においては、まず頭角を現したのが菅井友香。今年1月にオンエアされた『炎の体育会TV』(TBS系)で「紅白出場のお嬢様アイドル」と紹介された、得意としている馬術の腕を全国放送で遺憾なく発揮。同番組の密着取材で菅井の人となりが全国に伝わり、この活躍もあって馬術スペシャルアンバサダーに就任した。ラジオにおいても菅井は『レコメン!』(文化放送)のパーソナリティーを務めており、そのほかにも平手友梨奈が『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)の「GIRLS LOCKS!」を担当、土生瑞穂が『ちょこっとやってまーす!』、小池美波が『ザ・ヒットスタジオ』(以上、MBSラジオ)のレギュラーになるなど、ラジオへの露出も増えた。そこではよりディープで細やかな情報発信を行える上、新たな交遊の輪が広がっていったと言える。


 メンバーの中でも群を抜いて活躍していたのが長濱ねるだろう。『けやかけ』のクイズ企画で「初代インテリ女王」に君臨した長濱は、そこからクイズ番組のアイドル枠として呼ばれる機会が増える。中でも、3月に放送されたクイズ番組『くりぃむクイズ ミラクル9』では絶体絶命のピンチから奇跡的なドラマを起こす大活躍。さらに翌日に放送された『ザ・タイムショック新クイズ王決定戦SP 2017春』(以上、テレビ朝日系)では、やくみつると接戦を繰り広げアイドル界のクイズキャラのポジションを獲得した。12月26日に放送された『超踊る!さんま御殿!!最強夫婦&コスプレ女豪華芸能人の大忘年会』(日本テレビ系)に出演した際は、明石家さんまを相手にトークを展開。さんまが「サイレントマジョリティー」の一節をギャグにしていたのは驚いたが、この長濱の出演が欅坂46にとってのバラエティの道を広げたはず。長濱は『残酷な観客達』(日本テレビ)でも、可愛らしくもミステリアスな役を好演し、ドラマ内でも大きな存在感を放っていた。9月にけやき坂46との兼任が解除され、欅坂46専任になった長濱は、今後個人での活躍の幅も広がるだろう。女優としての活躍はもちろん、様々なバラエティ番組に出ることで欅坂46そのものを外に発信するような活躍も期待できる。


 平手のソロでのテレビ出演は、だいたいが彼女の真に迫ろうとするものだった。『SONGS』(NHK総合)でSEKAI NO OWARIと対談した際は自身の悩みを打ち明け、「(大人は信じてくれないって)思ってます。全部嫌いです」と不信感を明かすほど。平手は他のメンバーのソロ出演と違い、内面を掘り下げられることが多いが、それでも誰も彼女の考えていることはわからない。平手のカリスマとして目が離せない危うい存在感は、またひとつのキャラとして確立したと言える。2017年、長濱が外に出て欅坂を広めていく存在ならば、平手は欅坂のイメージを守り、外から注目させ、欅坂を広めていく存在なのかも知れない。


 歌番組においても、ダンスの途中で片方の靴を投げ捨てる「エキセントリック」、平手がメンバーに取り囲まれて何度も突き飛ばされる「月曜日の朝、スカートを切られた」、そして欅坂46の中でも難易度が高い振りが特徴的な「風に吹かれても」など、振付師のTAKAHIROによるダンスパフォーマンスはいつも話題を集めている。先日放送された『2017 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)の第1夜では、平井堅の「ノンフィクション」にバックダンサーとして平手が参加。鬼気迫るコンテンポラリーダンスは、SNS上でも大きな反響を呼んだ。そして第2夜では「風に吹かれても」をメンバー全員が笑わない状態でパフォーマンスし、ファンの間で様々な憶測を呼んだ。ひとつのアイドルグループのパフォーマンスがこれだけ注目され、放送後に様々な議論が飛び交うことは今まであっただろうか。テレビ露出等で認知度が高まったことで、彼女たちが持つ影響力は現在進行形で大きくなり続けている。


 欅坂46の夏の全国ツアー以降、彼女たちの姿をテレビや雑誌で見かけることが本当に増えた。それもグループとしてだけではなく、それぞれのメンバーの個性も全国区になりつつある状況だ。年内最後には『第68回 紅白歌合戦』への出演が控えている欅坂46。夏の全国ツアーで衝撃的なパフォーマンスを見せた「不協和音」を披露するようだが、国民的音楽番組で彼女たちがどんな爪痕を残してくれるのか。いずれにせよ、2018年もこの勢いはとどまることを知らないだろう。(本 手)